雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

現実のリトルブラザーは弱者かも知れない

初音ミクの画像がGoogleYahoo!から消えているで検索できない件。サムネイル検索のgoogle:ニコニコ site:youtube.comをみても初音ミク関連だけ不自然になくなっていて、誰かが手作業で削除したようだるのだが、Yahoo!Google意図的削除はしていないという。権利者からの削除依頼ではないとなると、例えば海外で第三者からチャイルドポルノと指摘されたとか、日本法人の関知しない経路で手動削除がかかったのかも知れない。google:赤福 site:youtube.comとやると同じようにサムネイルが表示されないので、実際クローリング間隔があいていただけかも知れない。意図的削除はしていないというのは悪魔の証明だから、コミュニケーションが難しそう。 (10/23追記)

これは手入力でデータを操作したとしか考えられないですね。
イメージ検索じゃなくて普通のWEB検索でYouTube内を検索すると、検索結果の横に小さなイメージ(サムネイル)が表示されます。このサムネイルが「初音ミク」関連に限って表示されないという話。コメントで教えていただきました。

事実関係は追って解明されるとして、改めて考えさせられたのは、検閲とか情報操作というと強者の特権と考えられがちだし、実際それ自体が権力なのかも知れないが、行使のために情報に対してラべリングしていく作業そのものの付加価値は低いということだ。
フィルタリングのリストづくりにしても、掲示板や検索エンジンの削除依頼処理にしても、動画投稿サイトの内容確認にしても、CGMが増えるに従ってコンテンツ製作そのものにコストがかからなくなる一方で、確認作業そのものは膨大となっているが、収益構造を考えると大きなコストはかけられない。真っ先にオフショアリング、クラウドソーシングを検討すべき業務だ。
即ち初音ミクのサムネイルを検索エンジンから根こそぎ削除するための仕掛け自体が強者の権力であっても、削除を実行する判断や作業をしている個々人は弱者なのかも知れない。問題あるサイトの排除について、気付かないうちにバックエンドで同じデータソースを参照していることも考えられる。
そもそも情報を不可視化するための仕掛けである以上、今回のように適正でない排除が顕在化するのは氷山の一角に過ぎず、普通は誰も気づかないのではないか。その権力を乱用し得るのは現実には弱い個々人であって、彼らが仮に個人的に偏狭な正義感や趣味で職権を濫用したとしても、膨大なデータベースを個別に精査することは非常に難しい。ロングテールの闇がそこにはある。
検閲という隠微な権力そのものが歪んだ価値観を持った人々を引き付けるかも知れないし、仲介者に悪意がなくとも悪意ある通報を明確な基準に基づいて排除するには結構なコストがかかる。従って事業者に悪意はなくとも、こういった事故は今後も起こり続け、その多くは顕在化しないのではないか。
理想的には不可視化のプロセス自体を、Wikipediaのように削除なりの過程そのものを可視化すべきだが、そこをオープン化してしまうと排除が排除でなくなってしまう。何かを不可視化するための情報に対してガバナンスを効かせるアーキテクチャは、これから考えるべき重要な課題だ。
例えば守秘義務を負ったメタモデレータを、裁判員のようにランダムに選考するような仕掛けが考えられるが、そういった仕組みをつくるには、かかる仕組みが必要だという輿論を醸成する必要がある。その必要性そのものが不可視化されてしまいかねないため難しい問題だ。
政府による歪んだ介入を招く前に、検索エンジンCGM、フィルタリング等をひっくるめて、例えばNetwork NeutralityならぬListing Neutralityという概念を確立し、業界として自律的に透明性の確保へ向けた道を模索してもいいのではないか。或いは、そういった透明性そのものが競争の軸となっても面白いが、消費者がどこまで透明性に価値を認めるかは、正直よく分からない。