雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

Pay Per Postがフェアかどうかが問題じゃなくて

久々にペイジランク確認したらGoogle Japanとこのブログが同じで驚いたけど、今日のWOMJ研究会に先立ってPay Per Post問題について頭を整理したい。個人的にはCyberBuzzがPay Per Postに当たるかとか議論する気はなくて、少なくともGoogleの基準に照らせばペナルティの対象となる、ということが明らかになった時点でGoogleに対するSEOとしては価値がないんだろうけど、最初からSEOのつもりじゃなきゃ困ってないでしょ、みたいな。フェアネスとか記事の中立性について議論している人々もいるが、それを決めるのはグーグルではなくブログ読者であり社会であるべきだ。

この問題について、WOMマーケティング協議会(WOMJ)設立準備会の世話人同士でも、週末にかけ、メーリングリスト、チャット、電話で意見交換を行い、次回研究会(2月26日)を「クチコミと広告の境界線はどこなのかペイパーポストから考える」「ブロガーと企業の良好な関係を目指して、どこまで情報開示すべきか」と題して、みんなで考える「場」にすることにしました。

CyberBuzzを使ったGoogle Japanがペナルティを受けたのは、Googleの公開している方針に反することを行ったとGoogle本社によって判断されたからで、CyberBuzzの手法がアンフェアだとか、それらの記事が公序良俗に反するからという訳ではない。
わたしはブログに限らず記事や報道が客観中立たるべきだとか、客観中立たり得るとは考えない。マスコミだって本社ビルの国から土地を払い下げてもらい、総務省から放送免許を受け、記者はそういう会社に養ってもらって、政治部なら政治家を飲ませ、社会部なら警察と懇意になってネタを取ってくる、それが娑婆の仕事ってもんだ。フリーライターだって編集者と飲んで構想を膨らませて仕事を取ってくる訳で、決して不偏不党じゃない。プロの仕事ほど、Pay Per Postのために書かれた屑みたいな拙い文章よりずっと濃密な柵と人間関係の中で偏見に満ちている。けれどもGoogleはこういったニュースを差別しない。なぜなら情報として価値があるし、読者はそういった記事を求めて検索しているからだ。
このブログにしたってPay Per Postなんて割の悪い商売にこそ関わっていないものの、会社に勤めて禄を食んで家族を養い、仕事として永田町・霞が関を這いずりまわって、ライターの仕事を続ける過程で編集者から日本語のイロハを鍛えてもらい、大学で教鞭をとって学生さん達から刺激をもらった中から、リスクをとりつつ誰かに迷惑をかけることのないよう配慮しつつ切り出している。Pay Per Postに飛びつくブロガーとの関係なんかよりずっと、様々な立場の人々から濃く深く影響を受け、利害の絡みあった世界の上に成り立っている。
誰もがそうやって様々な利害や人間関係に絡め取られながら生きているのであって、Pay Per Postで小銭をもらって、何か盛り上げたい人々の周囲に群がって何が悪いんだろうか。Googleからペナルティを食らったって、読者からの信頼も失ったって、別に本人たちの勝手じゃないか。そしてGoogleには、それがフェアネスや公序良俗に反していなくとも、彼らの生業を邪魔する輩に対抗して、ペナルティを振りかざすなりアルゴリズムを改善する権利がある。
広告なんて祭りみたいなもので、どんな祭りも取り仕切る村ごとに掟がある。それは村なり祭りなりを成立させ続けるために必要なのだと為政者が判断しているのだから最初から議論の余地などない。気に入らなきゃ立ち去ればいいし、郷に入らば郷に従えばいいし、まず掟を確認しておこうぜ、みたいな。
もし掟を見直そうとするならば、なぜその掟があるのかを踏まえて、お互いにもっとうまくいきそうな提案を考えよう。それはきっと多くの読者にとって価値ある情報ほど上位に評価されるための仕掛けではないか。今よりもシロクロはっきりしていた方が、広告屋さんたちは知恵を絞りやすいだろうし、そうやってノイズが増えたならルールは見直さざるを得まい。
Pay Per Postを巡っては読者との信頼、SEOとの関係って2つの論点があって、読者からの期待が高い場合はそれなりに襟を正す必要があるし、そうじゃない世界も含めて結構な幅がある。日経新聞と週刊大衆、大手町と歌舞伎町じゃ別の期待があるのと同じだ。SEOについてはGoogleが当事者として来ないことには議論が始まらない気もするけれども、WOMJでの議論を通じて、エントリーと検索結果の品質を高める方向に影響を及ぼすことができたなら面白いんじゃないかな。