雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

Winny作者逮捕

一部じゃ「権利者&警察 vs. P2P利用者」という枠組みで捉えられてるようだけど,日本の権利者団体が作者摘発までやろうとしていたかには疑問がある。Napsterみたいに派手めのベンチャーなら狙われただろうけど,個人を訴えてもねぇ。特に欧米でP2P自体は合法という判例が相次いでいることから,権利者からみると裁判での勝算も見えにくい割に,勝ったところで見せしめにしかならない。
周囲の情報を総合すると京都府警が単独で動いてるようにみえるんだけど,気になるのは利用者を摘発した段階で作者逮捕までシナリオを練っていたのか,Antinnyで調書だかが流出してから意趣返しで逮捕へ向けて動いたのかという点。前者であれば,作者逮捕の前哨戦として利用者を捕まえたことになるし,後者であればメンツを潰されてから手元資料で立件しようと画策したことになる。この辺の事情は追って明らかになるだろうが,個人的には前者であれば,利用者逮捕の段階で,作者も逮捕してたんじゃないかなと思う。
仮に後者であれば,日本は本当に法治国家なのかと暗澹たる気持ちにさせられるのと,Winny作者 vs. Antinny作者という,また別の構図もみえてくる。こういう薄っぺらな正義を騙ったウィルスというのはNachi然り,単純にシステムをクラッシュさせるウィルス以上に厄介だったりする。自業自得とはいえ,大恥をかいた個人や,メンツを潰された道警に京都府警があったり,防衛庁の内部資料まで流出した訳で...
ただ,この事件でP2Pそのものの未来を云々するのはいささか拡大解釈だろう。違法ファイル交換を主たる目的としたWinMXスタイルのP2Pソフトを提供することのリスクは高まるけれども,製品やフリーソフトP2P技術を組み込むこと自体がNGになるという話ではない。P2P自体は効率的なデータ配布トポロジに過ぎず,DRMと組み合わせて合法用途向けにも使える訳で。
違法ファイル交換ばかりやってる/やり続けたい連中がしたり顔で「これでP2Pの未来が云々」と騙るあたりが,話をややこしくしてるんじゃないか?それこそ,P2PWinMXスタイルのファイル共有に矮小化した下らない議論だ。
こういった事象の善悪や政府の役割をどう規定するか,情報倫理学的な議論をもっと活発にしていく必要があるのではないだろうか。