雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ITSSについて

夢研の懇親会で説教する予定だった後輩には埋め合わせで近々にごちそうするとして,今日,夢研の飲み会で話そうと思ってたことを書き留めておく。ITSSが機能しないのは,スキル標準と名打っている割に,企業間の評価基準の差を補正する仕組みがないことだ。この点,筆記試験の是非はおくとしても,情報処理試験の方がまだよくできている。それに,現場というのは開発規模だけじゃなくて,様々な要素で難易度が結構異なるし,要素技術や組み合わせ方も結構変わるので「どれくらいの規模の開発をしたことがある」的な基準で輪切りにしてスキル水準を判断できるとは考えがたい。それに,決定的なことは,ITSSスペシャリスト・キャリアパスのゴールとされているITアーキテクトなんて,名前ほど派手な仕事でも稼げる訳でもないということだ。@ITの記事を読むと,自称ITアーキテクトの平均像は34歳で年収580万円くらいだそうである。
http://jibun.atmarkit.co.jp/ljibun01/survey/sv03/sv03.html
まぁ自称ITアーキテクトなんて自称SEよりも怪しいというかなんちゃってという気がするけれども,もっと具体的に,こういう人になりたいというペルソナを思い浮かべるべきで,RUPが分かってXPしてて,みたいな妄想の塊みたいでは全く困るのである。日本でスペシャリストが高く評価されない,少なくとも給与はそれほど高くない理由とか,社会背景とかはもっと根深くて,持ち運べる資格くらいでどうこうできる話ではない気がする。
だいたい,そういう属性が尊重される文化が今のIT業界にはないし,それはそれでむしろ健全なことだ。必要なのはそういう仕掛けではなくて,真面目に頑張った技術者が,公式な実績を積み上げていける仕組みじゃないだろうか。例えば役所のIT調達について,主契約社だけではなく,下請けや,そこで働いている個々のエンジニアの実績となるような仕掛けでも考えた方が,よほど有意義だ。