雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

省益の壁を超えるために必要な公務員人事制度改革

まだ議事録が公開されていないので細かいことを書けないのだが,最近ちょっと脱力させられる決定があったようだ.要はやっぱり省益の壁は厚かった,というだけの話で,どこぞの新聞の論説が如く役人の縄張り争いというかサラリーマン根性を批判しても仕方のないことだ.(どこぞの記者がそういう書き方をするのも,彼らがサラリーマンとして職務に忠実なだけで,彼らの人格を攻撃する意図はないので悪しからず)
橋本行革あたりから,内閣にいろいろと組織横断的なプロジェクトチームができて,これまでよりは問題が正しく設定されるようになったのはよいことだけれども,やっぱり寄せ集めチームでは馬力に欠けて,死ぬ気で縄張りを守りにかかる本省には胆力でかなわない.こんなことは最初から分かっていたのであって,けれども色々な取り組みが国民の面前で骨抜きにされていくことは,議論を次のステップに進めるための政治ショーとして意味があったのだろう.
問題の本質は,公務員人事制度にある.省庁間の人事交流が増えて,これは情報共有とか政策の摺り合わせにこそ充分に役立っているのだろうけれども,役人だってサラリーマンなのだから,自分のキャリアパスを人質に取られた状態で,決定的なところで省益よりも国益を優先できるはずがない.官庁によっては天下り先も減って,権限も予算も縮小したことで,役人としてのキャリアパスにしがみつくインセンティブ自体が結果的に小さくなっている場合もあるが,これはこれで別の話である.
本当に省益を超えて国益優先の制度改革を進めるのであれば,組織の数合わせや看板の掛け替えより効果的なのは公務員人事制度改革だろう.ここで提案することは非常に荒っぽいし,法的・政治的実現性を真面目に考慮していないので,大いにシュッ・シュッして,よりロバストな政策オプションとして揉んでいきたい.