雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

not 好きなことを仕事にする but 憧れていることを仕事にしようとする?

脱サラして以前から好きだったことを仕事にするのなら,それは非常にライフ・ポリティカルな動きだと思うのですが,学生さんがアルバイトしながら夢を追っかけるのは,きみきみ,それは好きな仕事じゃなくて憧れている仕事だろう,と思うのです.
ぼくの場合も,やっぱライターだろうと思ってライターを始めて,やってみると手応えがなくてコンサルとかシステム構築とかマーケとか渉外とかジョブホップしてきた訳ですが,憧れているときに外側からみた仕事と,実際やってみての仕事ってかなりギャップがあるんですよね.
そういうことを踏まえて,ちゃーんとリサーチしといた方がいいよというアドバイスに繋がったのかと思うのですが,専門学校って経理とか法務とかの資格系はまだいいけれども,職業訓練系は求人側のニーズというよりは,学生の憧れにフォーカスした胡散臭いのも多くて,いやまぁ騙されるのは勝手だけど,結構いい加減なのも多いよなぁ,と感じています.
うまくいえないのですが,「好きなことを仕事にする」ことと「憧れていることを仕事にしようとする」ことの彼岸に思いを致すのです.

卒業生が「進路について相談したい」と研究室にやってきました。話を聞いたら今年の4月に入社した会社を4月に辞めてしまったのだそうです。自分の好きな分野でやりたい仕事があるのだが、そのために専門の学校に通うのがいいのか、どうしたらいいのか、という相談でした。
(略)
だめならだめで、できる分野でやればいいんだし。ただし賃金・労働の負荷・可能なキャリアパスとか、業界の構造は当事者に話をきいて、しっかりリサーチしといた方がいいよ〜などという話を卒業生とはしました。
(略)
Richard SennettはThe Corrosion of Caracterの中で、新しい資本主義の中で、ふつうの人間が一貫したキャリアとかそれに基づくアイデンティティを持ちにくい時代になった..という話をしています。まったくの異業種への転職を余儀なくされたり、リストラされたり、仕事の評価基準が抽象的で、社会との接点を実感できなくなったり。好きなことを仕事にしようというのは、そういう流れに対抗するわけだから、じつはとってもライフ・ポリティカルな動きなんだな...と思います。仕事が「それなりの一貫したもの」でなくなればなくなるほど、好きなことを追求したい人は増えるのではないかしら。おっとこれは一つ仮説だ。