雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

古典を読むのは大いに結構.でもイマを論ずるなら統計やレポートにも当たろう

液晶しかりプラズマしかり,せっかく基礎研究から技術を積み上げて何十年もかけて売れるところまで育ててきた割に,儲かるようになって数年で中国や韓国との価格競争で儲からなくなっている,液晶では設備投資競争から多くの企業が脱落し,2社への統廃合が進んでいるという状況があって,ここ数年は知財政策でも色々と動きがある訳だ.
さりとていくらプロパテント政策を取ったところで焼け石に水,日本の工場の熟練工を中国・韓国企業が土日のアルバイトや高給の数年契約で引き抜くのを止められる訳でもなく,デジタル家電の分野では国際的な価格競争で利益率が悪化し,利益率では斜めドラム洗濯機やヘルシオの方のような高級白物家電の方ががおいしい,という状況になっている.
だからいきなり「プロダクトイノベーションを起こすためのテクノロジーマネジメントによる差別化戦略」といわれても,どういう理屈でそこに飛ぶのかさっぱり分からない.日本が生産管理ばかり頑張ってきて,基礎研究の手を抜いてきたと考えているなら思い込みも甚だしい.
全体のR&D投資が大きい分,諸外国と比べて割合でみると小さくもみえるけれども,日本は絶対額でみるとかなり基礎研究に投資している.問題はそれをキチンと回収できる構造になっていないことだ.少なくとも経済産業省はその辺の問題意識を持って政策を打とうとしていて,ちゃんとレポートも出ている.
手始めに「科学技術指標」「情報家電産業の収益力強化に向けた道筋」あたりから読み始めて,日本の企業や政府がどれだけ基礎研究に重心をかけているか,それでもなかなか儲からない理由をよく理解をしてから批判しては如何だろう.

日本の企業は短期的な技術投資、例えば現在の技術を一部改良したような技術ではなく、長期を見据えた技術戦略の策定と投資が急務であると考えます。