雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ファッション業界に似てるとか鉄火場2.0とか

懇意にしている雑誌記者の方から「いや,なんか最近IT系の人々を取材してるとさー,どんどん軽くなってて製造業とかよりファッション業界みたいな感じなんだよねー」なんて指摘受けた.いわれてみると僕もそんな気がする.いや,きっとデジカメのファームウェアとかITSをやってる人々はきっとすごく製造業っぽいのかも知れないけど,blogとかWeb 2.0とかを煽ってる人々は確かにオサレだ.
考えてみると僕はVAIO Type Tの薄い液晶に感動してるけど誰がつくったのかも,気に入っているFinepix F11のISO1600なハニカムCCDを誰が創ったのかも知らないけど,はてなの近藤さんや伊藤さんとか,Rubyのまつもとさんとか,ミラクルの吉岡さんとか,Greeの田中さんとか,そういう人々のことは何となく知っている.
いや単に業界が同じだからじゃん?という気もするけど,製造業は非常に近代的に,運用上は属人的であっても組織が前面に出るのに対し,ソフトの世界,特にネットの世界というのはどうもヒトが前面に出る.これはスカンクワークで世界を変えられるからかも知れないけど,ファッション業界にしてもネット業界にしても,価値をモノに憑依させるのではなく,人々の行動変容に憑依させる世界の特徴なのかも知れない.
『本当に技術が必要とされる現場にgeekがいない』なんて嘆きを聞くと,そりゃーまずいね,という気がする.第三次オンラインとか,世の中の大事なインフラを設計開発した団塊の世代が引退して,落としちゃいけないシステムを知らないalpha geek達と,IT業界の底辺を蠢くメンテしかさせてもらったことのないCobolコーダーたちばかりになって,銀行のシステムの面倒を誰がみるんだろうとか,原発ってつくるより壊す方が大変なのに,原子力工学系の学科って全くもって人気ないし,ホントにぶっ壊すまでは仕事も少ないんだろうなー,とか.
けど一方で思うんだ.きっと都銀の第三次オンラインを立ち上げるときもドコソコ第何原発を立ち上げるときも,優秀で無名,いや,その世界じゃ有名かも知れない人々が束になって頑張ったんだろうなと.プロジェクトXほどクサい話じゃなくてもねー.いや伊藤さんは優秀なひとだと思うけど,デジカメのファームを書いたり,医療機器のビジュアライズをやっている限りは,伊藤さんほど優秀であってもalpha geekとしてその名を轟かしたりはしないんじゃねーの,実際のところ.
みんな有名=優秀って思いがちだけど,Web 2.0周辺がalpha geekに満ちあふれているのは,そこが最先端で優秀な人々を引きつけているというよりは,西海岸的にVCを騙してカネを引っ張る必要のある世界とか,なんかそーゆー産業構造的にタレントをでっち上げなきゃ回らない舞台回しがあって,日本もそれを何となく真似ているだけ,という気がしないでもない.
それってやっぱり,製造業よりも怪しげなカリスマ・デザイナーとか伝説のプロデューサーの跋扈するファッションの世界にとても良く似ていて,産業構造的に製造業に近いソフトの世界には,寡黙な匠の世界も残ってるのかも知れないなー,とか根拠レスに期待してみるテスト

だいたいそういう人は、技術的なモチベーションを維持しやすい最先端企業やサービスにいる。技術者が技術者同士切磋琢磨できる環境にあることで、最新の情報に触れ、最高のアイデアを実現できるポジションにいようとする動機があるのだろう。称賛されうる仕事で己の能力を十全に活かしたいという話だ。
一方、彼のようなgeekを必要としている現場は山ほどある。その大半は悲惨なものだ。