雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ライブドアが上場後、買収&金融にシフトしたのは正しい

マスコミはホリエモンが上場後に変質したことを問題にしているけれども、僕はそこまでは彼は賢かったのだとおもう。企業買収や金融事業をマネーゲームと罵るのは易しいけれども、マネーゲームにシフトせざるを得ない経済的基礎条件を無視している。
そもそも、オン・ザ・エッジの本業であった受託ベースのWeb構築は、小資本で始められる労働集約型の事業であって、だからこそ学生ベンチャーでも成長できた。一方で資本を突っ込んだところで、本業の延長線上で成長路線を描くことは極めて難しい。案件も技術者も、カネに明かして山ほど買えるものではないからだ。
一方でネットバブル最盛期には異常な株価がついて、そもそも使い切れないような上場益を得て、時価総額から換算すると有り得ないようなスピードの成長を期待されてるんだよと脅かされる訳だ。で、近い業態で傾いた会社を買って建て直したりするだけじゃ間に合わず、手っ取り早く数字を嵩上げできる金融業で収益を上げつつ、既に持っているWeb構築技術を活用できて設備投資に資本を要するポータルを本業としたのだろう。それは、過大な成長期待と手元現金を背負わされた会社にとって正しい判断だったのではないか。本業と強弁したのに儲からないポータルに対する焦りが不正につながった可能性はあるけれども。
オン・ザ・エッジが企業買収に走ったことが当時の市場環境からして致し方ないことであったのは、同時期に上場した技術系企業の顛末をみても分かる。問題は、どこで一線を越えてしまったかであって、どこで実業からマネーゲームに目移りしたかではない。
僕には細かいところはよく分からないけれども、彼は常に株価のプレッシャーに晒されて株主を納得させる数字をつくらねばというプレッシャーに苛まれていただろうし、泡銭には有象無象が寄ってくるものだし、悪事というのは一線を越えてからは段々と感覚が麻痺するものであって、そんなに不思議な感じはしない。
むしろ、堀江氏がどこかのタイミングで変節し、マネーゲームに溺れたのだという物語を流布し、問題を堀江氏個人の内面に矮小化しようとしているマスコミの方が、よほど危うい。メンツで孫さんに対抗して新市場の設立を焦り、明らかに資本を必要としていないベンチャーをガツガツ上場させたのはどこの誰だったっけ、とか振り返ってしまうのだ。それで結果として取引所のシステムを落としてしまったのだから、自業自得としかいいようがない。