雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

iPod WiFiと想起して忘れかけていた野望を思い返す

mixiでは速攻「iPod WiFiとおもったら」と書いたんだけど,津田さんとか境さんの同僚とか、みんな同じコト考えていたんだな,と妙に納得.いずれiPodWiFiなりWireless USBが載るだろうというのは世の中的には既定路線ってことか.iPod WiFiが出る頃にはiPodから直接iTMSにアクセスできるんだろうな.全画面液晶+タッチパッドなUIで音楽を買う仕組みって,考えるだけでドキドキしてくる.認証・課金とかどうするんだろう.iTunesからiTMSのログイン情報を引き継ぐのが現実的か.iPod同士でアドホックネットワークを組んでP2Pファイル交換できたら面白いけど,絶対やらないだろうな.
P2Pにハマってた5年前,遠からずPDAに無線Napsterみたいのが載るんじゃないかと感じていた.それよりもっと 前,ラジオがデジタル化したらプレイリストだけ双方向でパーソナライズして,パーソナルジュークボックスみたいのが出るだろうなと信じていた.10年くらい前だったっけマイクロソフトがFireflyを買ったとき,腕時計や音楽プレーヤにもWindowsを入れようとしてるんだなと感じだ.何となくubiq.tvというドメインまで取ったけど,結局使わなかった.
だから,未だにサーバー型放送が立ち上がらず,自分でリップした曲を何千曲もHDDで持ち歩くiPodのスタイルとか,技術的には何ら新しくないPodcastingが,けれども世界を一変させてしまったことに対して,歴史は思いのほかつまらなかったという感想を持ったというか,やっぱり未来を読むのは難しいな,と切実に思う.RDFを使ったコンテンツのプッシュ型配信なんてPointcastの焼き直しに過ぎず,けれどもMarimbaとかActive DesktopとかNetcasterが軒並みコケて,誰もが忘れたことにしてしまったんだ.それがblogブームで再発見されて...なんて昔話はどうでもいいとして,ともかく世の中って思ったほど早くは変わらないよね.不思議なことに.
2002年頃の僕の妄想の世界では,2003〜2004年にはWinny STBを台湾とか中国の怪しげなベンチャーが製品化して,好きな番組がプッシュ型で配信されるようになっており,そこでは自分の撮ったデジタルビデオも自由に配信できて,そういうデバイスがアキバの片隅で売られていたのがMP3プレーヤがそうであったように,数年も経てば松下やSONYも似たような機能を持ったデバイスをシレッと出しているであろう,というものであった.
いまの会社に入る直前に夢研で「コンテンツ屋がどれほど守りに入ったって、あらゆるコンテンツは勝手に共有されるんですよ.誰もそれは止められないし,いずれPCだけでなく,情報家電で何も気にせずにそういうインフラを使えるようになるんです」と真顔でいって,境さんに怒られたっけ.
それなりに革新的かも知れないアイデアを持っていても,誰か自分より先にやるに違いないと感じて真面目に自分で未来を創ろうとしなかった,ということもあるし,たぶん大事なのは技術的に何ができるかではなくて,ひとが何を求めていて,それはどうやれば手っ取り早く実現できるかであって,ヤヤコシイ先端技術である必要は全くないのだ.そこを分からないで,技術的にアトラクティブな何かをやろうとした僕は,もしリスクを取っていたとしても,きっと失敗していただろう.
いまの会社に就職してこの3年半,色々な意味で楽しかったし,何でもできそうなところでも,なかなか何かやるのは大変なんだな,ということを学んだ.外からみていると,これほどの競争優位を浪費するのはなかなか難しいと思うんだが,今となっては何か思いついても「何故それをできないか」についてスラスラといえてしまう.歳を取るってこういうことだとしたら,悲しいことだ.にこにこ毎日dogfoodingしつつシニカルに日常を眺めながらクダラナイ見栄の張り合いに終始し,だんだん髪が白くなってまで惚けて生きていくとしたら,これはかなりオメデタイ人生だ.
「周りが何故それをやらないのか」分かる今こそ,未来を創るためにリスクを取るチャンスじゃないだろうか,と思うこともあるけれども,いろいろ考えると例によって引っ込み思案になってしまう.

それより、同僚が言った「iPod Hi-Fi(ハイファイ)でしたね。iPod Wi-Fi(ワイファイ)ならもっと燃えましたね」というのはその通りだ。早く来い来い、iPod Wi-Fi