雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

垂直統合の時代

最近,プロトタイプとか含めて,どんなソフトをみてもドキドキしなくなった.僕は歳を取ったんだろうか.いや,まぁ実際のところ歳は取ってるんだけど,それはそれとしてソフトの世界そのものがいたく停滞している気がする.理由はいろいろあるんだけど,結局のところ複雑なものを駄目押ししても世界は変わらないってことなんだろうな.
扱える情報量や情報の経路は確かに増えたけれども,利用者にとっては「何をやりたいか」が重要であって「どうやるのか」は重要ではないのだ.けれども汎用を指向する製品では,なかなかズバっと目的指向のUIを提供することはできない.
PCを中心とした水平分業のエコシステムは,市場拡大と競争促進によるハードの低価格化,プログラミングの民主化という重要な社会変革を促したが,できることが複雑になり過ぎたにも関わらず従来の水平分業に固執したことで,最終製品の操作系は複雑になり過ぎてしまった.
最近になってAppleとか任天堂が輝いているのは,製品の価格やプログラミングより,複雑さそのものがボトルネックとなっている中にあって,操作系からコンテンツ,ハードウェアに至るまで垂直統合で一貫したユーザー体験を提供できているからではないだろうか.
技術革新も,垂直統合ゆえの身軽さによって加速している.ソフトウェアの肥大化によって実装よりも試験に工数のかかるようになり,水平分業では組み合わせの多さから検証工数が爆発するところを,垂直統合によって検証工数を減らし,操作の複雑さという本来の課題にfocusできているのではないか.
ハードの性能向上と価格下落とが可能にしたソフトの複雑さによる操作の複雑さ,検証工数の増大といったボトルネック自体が解消されない限り,垂直統合の優位性はしばらく続きそうな気がする.