「僕ら待たされ組」
働き始め損ねた人々が労働市場から疎外されていることには同意するけど、中途採用は多いのだから「門戸を閉めている」という表現は正しいのかどうか微妙。まぁNEET問題が若年層の気質よりも採用側に起因している可能性が高いのだし、確かにこの点について政府に説明責任を求めるべきだ。
ただ、こういった質問が民主党ではなく小泉チルドレンから出てくるのは、有権者からみて分かりにくい。いまの杉村氏なり自民党に投票しても、新自由主義路線が強化されるだけという気がするし。それに、企業の採用行動がNEETを産んでいるとして、政策的にどんな措置を取るべきかも難しい。
新自由主義的な観点ではNEET対策の一環として正社員の身分保障を緩和する、というのは理論上は考えられるけれども政策的には現実的でないし、就業支援とか職業教育でお茶を濁すだけなら今と変わらないし、社会民主主義的に労働基準法の運用を強化してワークシェアリングを推進しましょうというのも現実的とは思えないし、どうすべきなんだろう。
杉村氏は、ニートやフリーターが増えているのは、企業が新卒採用にこだわり、「門戸を閉めているのが大きな原因だ」と強調。小泉首相がメールマガジンで「挑戦しないで待っている『待ち組』がいる」と指摘していることについて「僕たちは働く意欲を失っているわけではない。『待ち組』ではなく、『待たされ組』だ」と反論した。
「ニートやフリーターが増えているのは、企業が新卒採用にこだわり、門戸を閉めているのが大きな原因だ」という指摘については私の主張と共通であり、その意味では一定の共感を抱かざるを得ない。
しかし、杉村氏が「本気」なのかどうかはまだわからない。若者層を票田にしようとする意図によるものである可能性は大きい。これからの杉村氏の動き方を見てゆくしかない。