雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

FMC神話の政治的背景

ソフトバンクVodafone買収について,僕も日本テレコムとのFMCといった展開を予想したけれども,まぁFMCというコトバは業界で流行っているから,とりあえず押さえておくんじゃないの?くらいのノリであって,あんまりそれが重要である気はしていない.
そもそも通信業界でFMCなるキーワードが盛り上がっているのは,固定から移動へと確実にARPUが逃げていく中で,固定通信事業者が如何にして生き残るか,或いはどう移動通信のお零れに与れるかという非常に後ろ向きの問題意識に過ぎない気がしている.これから固定はひたすらコモディティ化が進むので,利益成長を考えると移動に打って出るしかないのである.いずれにしても固定から移動への大脱走をキレイゴトで表現しているに過ぎない.
つまりNTTでいえば稼ぎ頭で独立したがっていたドコモを再び持株がグループ戦略に組み込もうとする動き,KDDIでいえば徐々に固定から移動へと事業の軸足を移す経営戦略,SoftbankでいえばADSL市場が成熟しFTTHではそもそも儲けにくい中で更なる成長戦略を練るとしたら移動通信をおいて他はないということだ.
だからFMCという言葉は,喧伝している人々にとってこそ死活問題であるし,ネットワーク機器ベンダにとって商機ではあるけれども,利用者たる我々にとっては大した意味はない.まぁ法人向け音声サービスが無線IP電話と音声定額との叩き合いになって,PBXも移動通信も値崩れしてくれると嬉しいね,という程度の話に過ぎないのである.