雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

Yahoo!はケータイのiPodをつくれ

そもそもFMCよりもこっちの話をしたかったんだけど,id:dodolabyさんが興味深いことを書いている.ご指摘のように携帯のユーザーにとって世界は携帯の中で完結しているのであって,固定と携帯の融合など大して興味は無いのであろう.では,インターネットと携帯コンテンツとの融合にはFMC程度の意味しかないのだろうか.そんなことはない.やはりYahoo!は多くの携帯コンテンツ事業者にとって脅威となるだろう.何故だろうか.
ひとつは,携帯の世界に初めて垂直統合モデルが持ち込まれることだ.僕は携帯電話の欠点は,操作に一貫性がないことだと考えている.同じキャリアでもメーカー毎に違うし,コンテンツ毎にも全く一貫性がない.これは,キャリアが端末による付加価値の提供には興味を持っていたけれども,本質的なところでコンテンツやサービスについてはプラットフォーム・プレーヤに徹していたことが大きいのではないか.
けれども実際のところARPUが伸びない,新しいサービスの利用者が増えないボトルネックのひとつは操作の複雑さにある.このことはツーカーSの流行からも明らかだし,携帯電話本体の説明書さえ数百ページと分厚いのに,場合によっては本体よりも操作性の低いコンテンツについて,そもそも説明書が存在しないというのはおかしな話だ.できれば本体もコンテンツも操作に一貫性を持たせて,どちらもマニュアルなしで使えるようにすべきである.ボタン配置もアドレス帳の操作方法も機種毎にバラバラというのは,言語道断ではないか.
Yahoo!に期待しているのは,単にVodafoneをどう経営するかというよりも,コンテンツホルダとしての視点から、ユーザー体験を再整理することである.ドコモやKDDIと横並びの競争をするのではなくて,Yahoo!ブランドでインフラからコンテンツ,ブロードバンドもモバイルも一貫して提供するところに意味がある.
移動通信単体の収益ではなく,シナジーも勘案してサービスモデルを構築できること,唯一あらゆるセグメント,レイヤをカバーする事業者として,PC/モバイル,移動/固定の枠を越えた技術革新を迅速に行い,iPodのような一貫したユーザー体験を提供し得る立ち位置にある,と考えるのは買い被りすぎだろうか.
無論これらのサービス融合には時間と資金が必要で,彼らには財務というアキレス腱があり,株式市場もそこを懸念している.競争力強化と資金調達とは鶏と卵の関係にあるが,このゲームを制するには予想を上回るテンポで新たな戦略と好業績を叩き出して,市場からの信頼を勝ち取る必要があるだろう.

携帯オンリーのユーザーにとっては、固定と携帯の融合など大して興味は無いでしょう。なぜなら、彼ら彼女らのネット生活は携帯で完結しているのですから。