雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

人材不足?の背景

最近「優秀なエンジニアってどこにいるんですかねぇ」とよく聞かれる.本当に優秀なエンジニアは起業したり,大学に残って研究を続けたり,グーグルに就職したりするんだろうけれども,だいたい探してるのは「Ajaxなひと」とか「Web進化論に出てきそうなGeekたち」とか,ヲイヲイ優秀なエンジニアの基準がそれかよとゲンナリしてしまうのであるが,まぁそんなものかも知れない.
いわれてみると前の会社を辞める前に登録したエージェントがずっと静かだったのか,ここ半年くらい急に年収1000〜2000万とか妙に景気のいいメールが飛んでくるようになったり,会社に身に覚えのない外人から電話がかかってきて訝しがっていたらヘッドハンティングだったりとか,そういうのが増えた.
僕は基本的に人買いは信用しないし使わないけれども,誘われたら必ず会うようにしている.だいたい印刷屋の親父とかタクシーの運転手とか飲み屋のオーナーは肌感覚で景気を把握していて話すと面白いのだが,人買いは彼ら街角景気ウォッチャー以上に細かいセグメントで,どこの羽振りがいいかを知っている.だから話しているととても勉強になるし,ひとつの会社に何年もいると,たまに人買いと話すくらいが面接のリハビリにもなって非常によろしい.
だから個人的にはjob hopする気のない人こそ,そういう人から声をかけられたら積極的に会った方がいいんじゃないかな.たまたま免疫がなくて,ころっと騙されて転職したい気持ちになればそれはそれで人生だし,どうせ取って食われたりはしないのである.閑話休題
で,Web 2.0ってAjaxとかシンジケーションとかマッシュアップとか,小難しいカタカナが氾濫しているけどロケット科学のような難しさはなくて,ツールとか教科書とかインフラが整う前に流行っちゃったもんだから人材の需給が逼迫しているだけであって,けど世のネットビジネスな会社じゃ,自分たちのサービスをどうやってAjax化するか,Webサービスに対応するか,けど人材がいない!みたいなことを大真面目に議論してるのかも.
Ajaxとか,フレームワークが揃って,いい教科書が出て,教育コースとかも整っちゃった瞬間に,かつてのWeb制作とかBGP運用と同じように技術としてはコモディティ化するのが目に見えているし,そういう基準でひとを採ろうという姿勢そのものがあざといし,技術者から見透かされているよね.
技術の流行り廃りがこれほど早くなると,学歴とか資格よりも自己学習能力っていうか,需給ギャップの生まれそうなヤマを張って先回りするとか,そういうテクニックやフィーリングを磨き,軽いフットワークで活躍の舞台を自分から変えていく処世術が必要になる.けどこの手のことはOJTでは教えてくれないんだよね.組織は潰しのきく人材を手放したがらないし,たいがい上のいうことを聞いていると,飼い殺されてしまうようにできている.
かといって,教育ビジネスもベンダと連んでマッチポンプ式に共依存なエンジニアをどうつくるかという仕掛けだから,あまり幸せになれそうな気がしない.では,流行りそうな技術にヤマを張って,教科書がなくても自分でガツガツ調べて試して勉強できるような技術者って,どうやったら育つんだろうか.或いはその路線を目指した場合に,ちゃんと報われるキャリアパスみたいなものは,どうやったらつくれるんだろうか,とか,そういうことを悩み始めている.
自分の頭で考えられればレールを敷かれなくても生きていけるのかも知れないけど,いまレールを外れて自分が生きていられるのは,そういうひとが充分に少ないという前提条件があって「これが競争の仕掛けか」とか知恵を共有した瞬間に,自分のような怠け者は頑張り屋さんたちの後塵を拝する気もするし...