雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

「企業は最も志の高いひとのものである」

会社は誰のものか (新潮新書)

会社は誰のものか (新潮新書)

これは至言かも.「天をみて仕事をする」という言葉の背後にある日本的な職業倫理の伝統についても色々と示唆があった.ガバナンスというと,みんなシステムとかレギュレーションのことばかり問題にするけれども,結局のところ誰がどう会社の先々のことを考えるかってことなんだろうね.あと,米マイクロソフトの配当政策を産業政策の一環と捉える視点も興味深い.
著者の吉田望さんとは昨年のGLOCOMフォーラムでお会いした.本書は岩井克人の『会社はこれからどうなるのか』が経営者の信託責任のことを大きく取り上げているのに対し,株主の権利を前面に押し出していると伝え聞いたのだけれども,読んでみると思いの外バランスが取れていて勉強になる.理論に軸足を置いた岩井氏に対し,現実に軸足を置いた吉田氏って感じかな.