雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

『富の未来』を読んで触発される

富の未来 上巻

富の未来 上巻

富の未来 下巻

富の未来 下巻

トフラー『富の未来』を読了.古典的な未来学の枠組みで,公文先生の情報社会論と通ずるところが大きいのだけれども,なかなか面白かった.

  • 非同期化が世界に於ける摩擦の主要因
  • 行政・教育が最も変化から取り残されている
  • ITは供給側の仕事の一部を利用者に押しつけた
  • 文明の発展はマクロ的にヨリ幸福な社会を実現した

全体を消化するには時間がかかるけれども,理屈をつまみ食いするだけでも,いろいろなことが靄が晴れたようにはっきりする.PC革命は最初から教育ではなく自己学習と互助に支えられていたのだという指摘をみて,なぜ自分が役所の音頭を取る「IT人材育成」に頷首しかねていたのか,はっとした.
ITの知識を工業化時代の中央集権・上意下達型の仕掛けで流通させようとするから効率が悪くて仕方がないのである.自分で学べない奴には手取り足取り教えても無駄で,学び方・問題の解き方をこそ会得してもらう必要があるのだろう.例えば携帯電話のマニュアルを最初のページから読む奴がどこにいるのか.セキュリティとかプログラミングとか,難しげにみえるから講義形式に疑問を感じないが,実際やっていることは携帯電話のマニュアルを暗記させようという流れで,いろいろとボタンを押しながら試行錯誤する方法を教えられる訳ではない.
確立して間もない技術で人材不足が叫ばれるのは,試行錯誤させてもらえる余裕もなく,マニュアル型人間を教化する仕掛けも整っていないからではないか.教えるべきは,試行錯誤の結果よりも,試行錯誤の仕方そのものではないか.
とか,読むといろいろ考えさせられるのでお勧め.