政治のための学問と学問のための政治との微妙な関係
飲んでるときに「経済学と経営学の違いって何?」と聞かれたときに思いつきで話したことをメモ.経済学とは役人を騙すための学問で,経営学とは経営者を騙すための学問である.
どちらも操作可能な変数を動かすことで,計測可能な変数を操作することを目的にしている.しかるに政府は各国にひとつしかなく,経営者は日本だけでも数十万人はいる.結果として経済学は限られたイデオロギー軸に収束し,経営学は言ったもの勝ちで多極化する.同席していた経営学徒のH氏は全く違う説明をしていて,経済学とはモデル・科学=前工程であり,経営学とは実装・工学=後工程とのこと.正しい経営学は経済学の知見にきっちり基づいているらしい.
帰りがけ夜風に当たりながら考えたこと.経済学の本来の目的や理論構成は必ずしも役人を騙すために組み立てられる訳ではないが,どれだけ役人を騙せたかによって世間から評価される.経営学に至っては応用に失敗しても実装上の問題と片付けることができ,どれだけ本が売れたか,多くの人を騙せたかによって世間から評価される.斯様に,学問そのものがいい加減とは必ずしもいえないけれども,学問の担がれ方や評価され方はいい加減である場合が多い.
だから勝ち抜いたもの,人気のあるものが正しいかどうかは怪しい.信ずるものが過去において救われたという以上の話ではない.淘汰された理屈は信ずるものが救われなかったというのであれば,それはそれで有り難いことなのだろう.
そういうメタゲームは結果的に世の中をどうするのだろうかとか思料してみる間にも,真夏の夜は更けていく.