雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトン

いや別に天下り斡旋全廃に反対しなくったって,自民党には票を投ずるとは限りませんぞ.
もともと官僚なんて地頭がいいひとばかり集めているのだから,どうして天下りの組織的斡旋が必要か理解できない.穿った見方をすれば若いうちに応分の給与を払わず,天下りで辻褄を合せるような不健全な処遇が横行しているせいで,天下国家を顧みず縄張り争いや上司の機嫌取りに現を抜かし,天下り先を増やすべく税金を無駄遣いした悪党ほど省内で高く評価されるようになってしまってはいないか.だとすれば何より国民のことを考え真面目に仕事をしている官僚にとって不幸ではないか.
最近そういえば某政策官庁で存在感のあった人々が,軒並み大学にいったり議員になったり知事になったり独立したり企業に転籍している.公務員倫理法で現場の情報を取りにくくなった上に,歴史を知る人が次々と野に下ると,政策立案能力にせよ経済界への影響力にせよ非常にまずい気がするのだが.
飛び出した人々に話を聞くと,許認可権はもともとないし予算も減ったし,行政手続法で法的根拠の不明瞭な行政指導も難しくなった.役所を飛び出しても社会を動かしていく方法はいくらでもあるし自由が利く.昔のようにおいしい天下り先もないので後ろ髪を曳かれることもないという.
よくよく考えてみれば,キャリア官僚というのは業界の偉い人と薄く広く付き合いがある訳で,別に斡旋などしなくたって,これはという人は周囲が放っておくはずがない.もともと地頭のいいひとばかり集めているはずで,斡旋が必要となるのは民間で通用しないほど要領が悪いか,民間の給与に満足できないほど強欲なのだろうか.
天下りというのはホワイトカラー上層の終身雇用が支配的な時代には一定の合理性があった.どんなに優秀でも,そもそも雇用の流動性が低く転職先や再就職先がみつからない「市場の失敗」の可能性もあったからだ.今は待遇のいい仕事もかなり流動性が出てきているし,戦後レジームを再検討する過程で,商売に大きく影響する制度改革も諸々動いているので,人脈が広く,政策過程や行政について造詣の深い官僚OBの活躍の機会も増えてくるのではないだろうか.
だいたい経済界の意を受けて労働流動性を礼讃し,格差社会をプロデュースしてきた連中が,自分たちだけ公務員身分保障天下り斡旋に守られているのは道義的にも許されまい.そもそも人生前半の努力を買い叩いて後で報いるという構造そのものが,高齢社会では成り立たないし,年金しかり労働法制しかり,成長を前提とした経済体制を如何に見直していくかという議論であるはずで,公務員の待遇も同様に見直す必要がある.
そもそも霞が関で年中夜中も仕事しているのに,応分の残業代をもらっているという話を寡聞として知らない.知り合いのキャリア官僚にこのことを聞いたら,入省のときに「君たちは労働基準法の外側にきたんだからな」といわれたという.法的にも実際そういうことらしい.しかし庶民感情として,経営の厳しい中小企業に対しサービス残業を厳しく摘発する一方で,自分たちはサービス残業の塊のような仕事の仕方をしているというのでは,いささか説得力に欠ける.
そもそも筋論としては,公務員の身分保障を外し,天下り斡旋を全廃する代わりに,公務員の労働環境も労働基準法で保護し,残業代は全て支払い,争議権を認めるべきである.保身に走った出来の悪い官僚の口車に乗せられて天下り斡旋全廃に反対する閣僚は,見識を疑わざるを得ない.官僚だって待ち組で居続けることは許されないし,再チャレンジすればいいではないか.

この閣僚の発言は、「官僚は給料が安くても、不夜城と呼ばれる霞ヶ関サービス残業で死にそうになっても、最後には天下りして甘い汁が吸えるからがんばっている」と言っているに等しい。
これは官僚を侮辱した発言だし、そもそもインセンティブの与え方が間違っている。優秀な人に、国民のために霞ヶ関で長時間働いて欲しいのであれば、その働きに見合うだけの民間並みの給料を払うべきだし、残業手当も出せば良い。