雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

若いっていいねえ

僕も7年前なら、そういうことをいったかなあ。どちらかというとアーキテクトで職業プログラマじゃなかったけど、遅延必定のプロジェクトに乗り込んで予定通りカットオーバーさせる火消しを何度もやった。僕が乗り込めば、どんなプロジェクトだって何とかなると思った。掛け値なしに、必須と思われていた。動きようのない仕様を叩き直し、足りない人材を集め、プログラマに指示しても「そんなの無理です」といえば彼が書けるようになるまでサンプルコードを起こしてやり、原因不明のバグがあるといわれれば究明してワークアラウンドを考えた。

あなたがプログラマなら、プログラマという肩書きが欲しいんじゃなくて本当にプログラマになりたいなら、人月評価なんかさっさと超えてしまえ。あなたは「1人月」じゃない。「こいつは何人月分では計算できない。必須だ」と思わせるんだ。マネージャ層に強制移住させられてプログラム技術を封じられる前にね。そして人月の世界の外を見ろ。そこがあなたの主戦場だ。

馬鹿馬鹿しくなったのは、いくら働いても給料が増えなかったことよりも、働いていない奴が僕より給料を貰っていたり、僕の何倍も稼いでいる奴が、僕より給料少ないことを知ったときだった。そっかー、僕この何倍も稼いだって給料変わらないのねー、と思った瞬間、身を削ってまで働くのが馬鹿馬鹿しくなって社内NEETに転じた。
まぁNEETといっても研究開発とか海外ベンチャーデューデリジェンスとか講演活動やコミュニティ活動はしていたので、普通に働いていたといえなくもない。プロジェクトに放り込まれるよりは百倍楽だったけど。
id:t_yanoのいうように、手がけている仕事で「必須だ」と思われるところまで極めるのは大事だ。けど「必須だ」と思われたから、使い潰されないかというと別問題だ。若いうちは身体に無理もきくが、そういう働き方はいつまでもできない。日本じゃFellowとかDistinglished EngineerといったカタチでProfessionalを処遇している会社も少ない。独身でいるうちは仕事が楽しくて楽しくて給料が安くたって充実した人生の送りようもあるけれども、所帯を持てばカネもかかる。
周りから必要とされるのは快楽だし、素晴らしいことだ。けれども、必要とされれば、いい仕事をしていれば、正しく評価され、きっちり処遇されるかというと、なかなか難しい。給料とか忙しさって、そういう周囲の評価もさることながら、色々な外部環境に左右されるものだ。あなたの仕事がどれほど必須であっても、受託開発でn次下請けのプログラマだったら、会社はまともなキャリアパスも用意できず、元請けのトロいスーツに小突かれて、彼の何分の一かの給料でコキ使われることになる。あなたがベンチャープログラマであれば、給料は安くてもストックオプションで大金持ちになるかも知れないし、その前に会社が潰れて路頭に迷うかも知れない。
人月を超えたって、あなたの処遇は人月に縛られたままだ。余人を持って代え難い立場に立つことは第一歩だが、仕事に見合った処遇を受けるためにやるべきことは他にもある。仕事を選び、仕事内容に見合った売上を勝ち取るとか、そもそも人月に縛られない収益モデルを描くとか。あなた自身がスーツを着るとか、馬の合うスーツをみつけるとか、やり方は様々だけどね。
本物のプログラマが何人分の仕事をしたからって、そのまま請求したら、世間的には水増し発注ということになる。人月ではなくFP法とかの定量指標で見積もれれば問題ないんだけどね。ありがちな解決策は5人分は働く本物のプログラマを、さっぱり使えない4人とセットで売り飛ばす方法だ。このモデルの欠点は多少の色をつけてもらうにしても、本物のプログラマが5人で山分けしたうちの1人分の給料しか貰えないってことかな。これじゃあ必須と頼られたって、馬鹿みたいでしょう。