不人気というよりミスマッチ
情報サービス産業が不人気で、なかなか望む優秀な人材が採れないという。しかし頭の勝負な世界で、コミュニケーション能力に長けてチャレンジングで好奇心旺盛な人だったら、同じIT業界でも入社してどんな仕事に放り込まれるか分からず専門性を活かしにくい国内大手SIerではなく、昇進の早そうな外資とか、事業領域のはっきりしているベンチャーに行くなり、自分で起業しちゃうんじゃないですかね。
問題は不人気というより需給のミスマッチなのだから解き方は2つあって、優秀な人材が集まるように採用や処遇を改めるか、いま採れる人材で競争力を高めるスキームが考えられる。仮にチャンレンジングなひとが少ないなら、そういった人材を抱えているベンチャーとがっぷり組むとかね。業界が違うけど産経新聞のIZA!なんて、チームラボに自由に仕事させて、ネット上の新聞サイトではトップを走っている訳で。
欲しい人材が集まるように採用や処遇を改めることも、団塊の世代の引退で身軽になりつつある今だからこそ取り組みやすいんじゃないかな。チャレンジングな案件で抜擢人事を行い、パブリシティも工夫してヒーローを仕立てるとか。
本当にコミュニケーション能力に長けていて、チャレンジングで好奇心旺盛な人を採りたいのなら、そういうひとが行き得る他の世界よりも同等以上のキャリアパスを示すべきで、説明すれば来てくれるだろうというのは外の世界がみえてないなぁと感じてしまう。学生はそんなに馬鹿じゃないですよ。若い人の活躍の場が非常にあるからこそ、優秀なひとを採るには会社も変わらなきゃ。
まぁ最初から受け身の働き方で機会を与えてもらうという学生も甘いというか、本当に会社から専門性を認められて自由な働き方をしたければ、学生時代から一旗揚げて中途採用を狙うって手もある。結局のところ新卒は新卒でしかないし、新卒として期待されているのだという自覚が学生の方にも必要なのだろう、というのは大学1年の頃からIndependent Contractorとして働き、大学2年の末にITベンチャーへ中途入社した僕の個人的な意見。
これだけ売り手市場になると企業だって学生のニーズに合わせざるを得ないのだろうけれども、団塊の世代の入れ換えが一巡したり景気が腰折れようものなら、また雰囲気は一変するのだろうな。
さらに藤原氏はネガティブイメージについて「ハードウェア開発は迂回生産で生産工程が長いが、IT、特にソフトウェア開発は、頭脳とサーバとオフィスがあればよく、投入する物的資源が少なくて済む。あとは頭の勝負。そういう産業構造だから若い人の活躍の場が非常にある。(IT業界は)そこをもっと訴えていく必要がある」とIT業界の魅力をアピールした。
(略)
IT業界はどのような学生を求めているのか。重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」(浜口氏)、「チャレンジングで好奇心旺盛な人」(岡本氏)の2点を挙げた。
一昔前は「体が丈夫で、従順に働いてくれれば大丈夫だよ」というスタンスで企業は採用を行っていたのかもしれないけど、今の大学生は結構将来のことについて考えていて、社会の構造は分からないなりにも自分のキャリアパスとか思い描いている。採用時にも自分の希望とその会社で描けるキャリアパスを考えて入社すると思うのだけど、学生はとりあえずコミュニケーション能力があればいいというのでは、学生は寄り付かなくなると思う。