雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

マック店長への残業代支払いを命ずる判決

飲食業界に於ける店長の酷使はマックに限らず幅広く行われている。トレーや店の入り口でのクルー募集の広告に力を入れているのをみて、最近は特に24時間営業を始めたり、好景気でアルバイトが集まりにくくなり、店長にしわ寄せがいっているんだろうなと勝手に心配していた。
まだ地裁判決で控訴の方向とはいえ、店長に残業代を支払うよう命ずる判決が出たことで、多くの飲食チェーンやコンビニ等のサービス業は、店長による告発や訴訟多発、労働基準監督署による立ち入り検査に戦々恐々としているのではないか。業界全体での潜在的な未払いの残業代は膨大な額に上るだろう。
ところでこの判決、短期的には労働者の権利を守ることになるけれども、労働基準法上の管理監督者について産業界での運用と判例とが掛け離れてしまうと、中期的には抜本的な制度改革の圧力となる可能性もある。今のままではゴネ得となりかねず、産業の実態に合わせて多様な働き方を認めつつ、守るべき労働者をきっちり守るのは悪くない流れだ。ついでにホワイトカラーエグザンプションの議論なども再燃するかも知れない。
仮にこの判決が確定すれば、店長を酷使していたサービス業全般で、原価計算の見直しに伴う長時間営業の見直しや価格改訂、アルバイト雇用の拡大といった影響が考えられる。そうでなくとも資源高の折、生活に密着したサービス業でのインフレ圧力やサービス低下に繋がる公算も高いが、今が異常なのだから止むを得まい。

細かい判示などは判決がどこかに公開されてから見ていきたいと思いますが、とにかく労働基準法の「管理監督者」の解釈は、世間で謂う「管理職」よりも遥かに狭いものだという認識がこれで少しは世間に広まることになるでしょうか。

2008年1月25日 JEC連合医薬化粧品部会労使懇談会講演メモ「今後の労働時間規制の在り方」

経営者と一体的立場ってところがきもで、経営そのものにタッチすると言うより実は日常業務に追われてるぜ、という部長さんがほとんどじゃないだろうか。所謂中間管理職の位置づけに一石を投じた、結構アナーキーな判決だと思いますよ。