なぜ今セルフレーティングなのか
インターネット協会がこれまで第三者レイティングに重点を置いた活動をしていたとしても不思議ではない。多くのWebサイトにセルフレイティングを呼びかけても成果が出なかったのに対し、フィルタリング事業者は非常に協力的で結果を出せたからとも考えられる。ドコモがSPFに対応した迷惑メール対応をはじめた途端、SPFの普及率が急伸したことを踏まえれば、未成年フィルタリング原則化はセルフレーティング普及の大きな契機となるだろう。
インターネット協会(それ以前は電子ネットワーク協議会)のフィルタリングについての活動は、初期の段階からどうみてもセルフレイティングよりも第三者レイティングに重点を置いた活動をしてきているし、より広く「違法・有害情報対策」という観点でみれば、「青少年に有害な情報」を含めて、棲み分けではなく抑制されることが望ましいという態度で一貫しているといえる(正面から尋ねれば否定するだろうが、全体としてはそう評価するほかない)。
もうひとつ最近になって追い風が吹いているのは、CMSの利用が急速に増えていることである。blogやwikiといったCMSツールの普及と並行して、独自CGIをつくるセキュリティ・リスクや工数が大きくなった。最近は携帯コンテンツ事業者の多くもCMSを活用しているようだ。はてなやmixi等の主要CGMサイトと、Movable TypeやMediawikiといったツールがPICSに対応するだけで、大きなカバレッジを確保できる。
検索サイトもYahoo!きっずやMSNキッズ、キッズgoo等が既に提供されている。これらがもっと普及して、児童に対するSEOとしてセルフレーティングが有効になれば、急速な普及を期待できる。半年〜1年の猶予期間を設けてセルフレーティングをベースにしたフィルタリングを行うと宣言するだけで、一気に普及を図ることができるのではないか。少なくとも試してみる価値はある。
ニコニコ動画やGoogle、Wikipediaも是非セルフレーティングを導入して欲しい。だいたいニコ動もmixiもWikipediaにアクセスできないネットなんて目黒のサンマのようなものだし、アダルトサイトに迷い込むリスクがあっても子供にはフィルタリングなしでネットを使わせたい。*1もちろん見せたくないコンテンツだけをフィルタリングできるのが理想だし、できれば子供が色気づく前に理想に近い環境を実現したい。