あまりにWeb 1.0的な
憶測でフィルタリング批判をしても仕方ないので実際にフィルタリングソフトを入れてみた。まずは無償提供されているWindows Live OneCare ファミリーセーフティ。アカウント切り替えが面倒なので保護者モードで警告だけ出す設定で。まずWikipediaだが英語版はokなのに何故か日本語版は弾かれる。2chが弾かれるのは想定の範囲内。mixiやモバゲータウンが弾かれないのは意外。ニコ動に至ってはR-18タブまでばっちり閲覧できるし。前々から気になっていたはてダのid:hashigotanによる赤裸々エントリでさえ問題ないのにはてブは何故かNG。おいおい何処フィルタしてるんだよ。
GoogleやLive Searchにいくつかキーワードを入れてみたが、ちゃんとエッチっぽいキーワードは一応ブロックされる。iGoogleやGoogle Readerも使えるがgmailは駄目。Webメールをフィルタする設定だからか。Youtubeでエッチめのキーワードを入れても大丈夫で、未成年には微妙な感じの動画もばっちり観られる。Wikipediaやtwitterや2chのトップページは内容に何ら問題がないのに弾かれ、mixiで出会ったり、ニコ動やYoutubeでエロ動画をみたり、はてダで赤裸々なエントリを読むのは構わないらしい。もはや意味不明。
総合的にあまりに意味不明な挙動だったんで他社はどうだろうと、やはり無料のYahoo!あんしんねっとを入れようとしたら、これのログイン画面がブロックされる。何故?警告を無視してYahoo!あんしんねっとを導入するとOSの再起動を求められ、期待を胸にログインしたらC++ランタイムエラーでフリーズし、CPUを100%消費して何もできず、アンインストーラも正しく動かず数時間も悪戦苦闘。フィルタリングソフトだから簡単にアンインストールできても困るんだけど、ランタイムエラーで動かないもんだから本来のアンインストール手順が使えない。最終的には電源を無理矢理落としてセーフモードで立ち上げ直し「システムの復元」で何とか元通りのところまで復旧。やっぱりアンチウイルスと一緒で混ぜると危険なんですかね。気をつけましょう。
推測するにURLベースのフィルタリング技術って、結局のところ古式ゆかしいアダルトサイトよろしくサイト自体がコンテンツの内容を規定し、画面遷移毎にURLが変わるという、かなり時代遅れの前提に根ざしているのではないか。AJAXのようにURLが変わらないまま画面遷移したり、ブログや動画投稿サイトのように次々と利用者がコンテンツを追加していく流行りのCGM/UGC系メディアを想定していないのだ。
ニコ動に1日数千本も動画がアップロードされ、日本語だけで数百万人のブロガーが次々とエントリを書く時代、やっぱり人手でURLをひとつひとつ登録するなんてB-29に竹槍で立ち向かうみたいな話じゃないか。ここはひとつWeb 2.0的?に、投稿者が自分からコンテンツをレーティングする仕組みや、ソーシャルブックマーク等で群衆の英知を活用した仕組みじゃないと機能しないだろう。リアルタイムのソーシャルレーティングくらい、今ある技術の組み合わせですぐにでも構築できる。
政府や与野党は、それでも強引に時代遅れなフィルタリング技術の普及を図ろうとするのだろうか。今はWeb 2.0時代でも使いものになるフィルタリング技術を開発することが先決ではないか。少なくとも僕は自由にmixiで他人と出会えてニコ動でエッチな動画を観られる一方で、有益な情報も少なからずある2chやWikipedia、Twitterへのアクセスを無条件に阻むようなフィルタリングソフトを、自分の息子たちに使わせたいとは思わない。
ここまでフィルタリングソフトが役立たずなら、子供には出来るだけ自分の目の届くところでネットを使わせるべきだ。自分たちは大人だからといってフィルタリングソフトを実際に試すことなく、フィルタリングソフトを入れているから安心だと勘違いしてしまうことこそが実に危険ではないか。