雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

日本での野菜増産に水は充分だが農政にできることは

早速id:m_yanagisawaさんからトラバを頂いた。農政には詳しくないので深入りすると危険なのだが、確かに水資源の利用状況のp.9をみると水利用の殆どは稲作で、耕地面積で水田の半数を占める畑作が数%しか水を使っていないことが分かる。稲作の水使用料も漸減傾向にあるので、日本国内で現在の食生活を変えずに動物性蛋白を含む完全自給はさておき、しばらく畑作を増やす分に水不足が問題になる可能性は低そうだ。課題は長年の減反政策にも関わらず増びの緩やかな畑作をどこまで政策的に増やし得るかだろうか。
これまでのような農家に対する農業補助金だけで増産は望めるかは疑わしい。いくら補助金を出しても、農家のなり手が増える見込みが立たないからだ。若手の農業従事者が増えないのも絶対的な所得水準もさることながら、政治が農協のいうことばかり聞いて補助金を撒き続けて家による農地所有を温存したために、農業経営の近代化が遅れて生産性が上がらず、雇用のミスマッチが生じたと考えるのは、都会育ちで経済学に毒され過ぎだろうか。
農政が農家対策ではなく食糧安全保障を主眼に据える日は来るのだろうか。まず都会の有権者がもっと農政に関心を持つ必要があるが、自分も含めて実感が湧かない。国内で持続可能な農政の将来展望を探りつつ、特に途上国での農作物増産による環境負荷を下げるための技術と政策レジームも検討する必要があるのだろう。

したがって私には夏の降水量が比較的多い日本では、例え食料自給率を上げようと農業を振興したとしても、それほど目に見える形での水危機には直結しないような気もする。
(略)
それよりもやはり危ういのはわが国の農業そのものではないか。田舎で暮らしているとよくわかるのだが、田畑ではほとんど若い人姿を見ない。全然見ないこともないが圧倒的に高齢者が農業に従事している。一部に日本の農業従事者の平均年齢は65歳を越えるとも。他の産業でこれほど高齢化しているものがあるだろうか。
日本の場合、兼業農家が多いということも影響していると思う。土日の「世話」でなんとかやっていけるのは米作くらいではないか。野菜などでは毎日のように出荷があるので兼業では無理である。米余りが続く理由がここにもある。米の消費が落ちて米の買い取り価格が下落しているのにもかかわらず米の生産量がそれほど減っていない。そして総体としての食料自給率は落ち続けている。まったく日本の農業は異常である。