雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

子供の安全より補助金と露出が大事な自治体や学校って何

世も末ですね、この手の感性って何でしょう。だいたい物流管理のために開発されたアクティブタグを子供の登下校管理に使おうなんて馬鹿なこと誰が思いついたんだか不思議でしょうがないのです。最も到達距離の長い400MHz帯アクティブタグでも20mしか飛ばない以上、センサーのあるところでしか位置を識別できないんですよ。登下校監視だけなら監視カメラ+顔認証で充分だし、下校中の位置監視や誘拐時の対応をしようとすると携帯電話の方がずっと有用で副作用もないのです。まだ子供に携帯を持たせたくなければ、機能を制限するなり携帯電話技術を利用した廉価な位置特定端末をつくればいい訳で。

ベンダー担当者「児童につけたタグが発する電波を受信して、児童の位置や行動がわかります。」、当方「むしろ誘拐などの犯罪を幇助しませんか?」、ベンダー担当者「はい、その通りです。自分の子供にはタグをつけさせないので大丈夫です」、当方「そんな危険なものをどうして売るのですか?」、ベンダー担当者「自治体や学校には危険性を何度も説明しましたが、話題になってマスコミに取り上げられればそれでいいそうです。」。その某社の関係者の方も受講されていたようですがね。それにしても児童を危険にさらせてもメディア露出や補助金がほしいというのは世も末ですよね。

この手の意味不明なソリューションって、だいたい議論の順序が間違えていて「こんど規制緩和で使えるようにするので、何かRFIDの使途を考えよう」「最近、子供の安心・安全が騒がれているから、その辺のネタで補助金をつけたらどうだろう」という順番で話が進んで、後から専門家が問題を指摘しても「せっかく予算をつける話がまとまりつつあるのに、なに邪魔するんだ。黙らせられないのか」という話にの順番だったとしか考えられないんですよね。
正しい議論は「子供の安心・安全をどうしよう」→「子供にとって何が脅威か」→「その脅威を予防・検知する上でどういった方法があるか」→「方法の洗い出し・コスト比較・副作用の検討」という順番のはずで、そうすると限られた脅威にしか対応できず、コストがかかる上に副作用の大きなRFIDを選ぶはずがないのです。「RFID」→「トレーサビリティ」→「子供の安全」という安直な連想ゲームで、税金が無駄に使われ、親に毎日メールがきて、子供を危険に晒したまま「子供の安心・安全」=「RFID」という誤った認識が社会に広がるのって、どうにかならないのでしょうか。
そんな筋の悪い企画には予算査定の段階で突っ込みが入ってしかるべきであって、予算をつける役所なり自治体の勉強不足も問題ではありますが。