雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

携帯ソフトスタックの肥大化と、一本足打法のリスク

モバイルビジネス研究会の結論が出た時点で端末メーカーの再編は予想された動きだが、タイミング的に三菱電機の撤退に続いてソニー・エリクソンがドコモ向け商品化計画の一部見直しを図っているとなると、SH-Mobile G3向けの共通プラットフォームのスケジュールに何かあったのかな。KDDIも昨秋モデルでKCP+端末の出荷が遅れたし。
携帯電話開発費に占めるソフトウェアの割合が高まる中、スタックの共通化によるコスト削減は急務だ。一方でスタックを共通化することは、他社に起因する遅延リスクが増大することでもある。ここ数年で松下・シャープがauにも端末を供給するようになり、日立・カシオがW-CDMA端末の投入を急ぐのも、プラットフォーム共通化で端末開発費用を圧縮しつつ、ポートフォリオを組んでリスクヘッジしようとしているのだろう。
数年前からソフトウェア開発費用の増大が端末各社の合従連衡を促した。さらに昨年のモバイルビジネス研究会による販売報奨金の見直しで、キャリア各社による端末各社の囲い込みが崩れ、ドコモがアップルに秋波を送り、携帯各社がAndroid発表を歓迎する時代がきた。端末メーカーのキャリア離れというより、キャリアからの束縛と庇護がなくなって、端末メーカーが漂流しているようにみえる。
これまでは各社で出遅れないために横並びでコスト削減策を打っていれば良かったが、外部依存度を高めるばかりでは金太郎飴のようにコア・コンピタンスのない事業となってしまう。実際、三洋は連結売上2770億円の事業を京セラに500億円で譲渡し、三菱は売上1000億円の事業を売却せず撤退した。これからもソフトウェア開発に関連した固定費が増える一方の中、ちょっとした開発遅延が事業継続性を揺るがす可能性は高まるだろう。
各社ともコンポーネントの共通化とリスクの分散を両立し、コアコンピタンスの再定義と深化を図りつつ合従連衡の機会を窺うという、難しい舵取りを迫られることになりそうだ。

すでに三洋電機三菱電機が携帯端末市場からの撤退を発表しており、端末メーカーのキャリア離れが加速しそうな気配であるが、今後は、インターネットサービスとの接続が広がり、公式サイトを含めたサービスプロバイダの再編が始まるかもしれない。

一部報道に「ソニー、ドコモ向け撤退」とありますが、ソニー・エリクソンは、NTTドコモ向けの商品化計画について、一部見直しを図っていることは事実ですが、今後も開発を含めてビジネスは継続してまいります。