雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

強者どもが夢の跡

Transmeta創業者がIntelに、Azul創業者がHPに入社したらしい。Transmetaのトランスコーディングも、AzulのメニーコアJavaコプロも、突き抜けて革新的なマイクロアーキテクチャだったから、ちょっと残念。これだけ輝かしいキャリアを持った人々でも起業せず大企業の門を潜る時代になったのだからシリコンバレーもいよいよ不況ってとこだろう。
Azulの事務所はGoogleの軒先、Computer History Museumのすぐ近くにあって、10月にSun Joseで開かれたRoboDevelopmentに行った折に前を通ったんだが、あの時にはもう新規開発をストップしていたんだね。TransmetaSONYからのCELL関連の仕事が一巡したところで縮小したしなぁ。
MPUビジネスって賭け金が高い上に、OSとか開発ツールとかチューニングのアプローチとか、いろいろ依存関係があって、革新的なアプローチで攻めるのが非常に難しい。けれども常に新しいベンチャーが生まれるシリコンバレーのダイナミズムって素晴らしい。汎用MPUは難しくても、コプロ系では面白くて性能的にも突き抜けたものが色々あるらしい。
来年には米国でコグニティブが解禁になるともいわれているし、これからRF-CMOS絡みで面白い動きが諸々出てくるだろう。モバイルは消費電力にシビアだし周波数利用効率を上げようとすればするほど青天井で変調にかかる計算量が増えるし、どうせ今あるチップでは処理できない世界だからね。
この間の日経エレクトロニクスISSCC 2008の解説記事が出ていて、昔だったらエンタープライズや組込系のいずれもMPUが気になったんだが、最近は色物系が面白い。韓国のサムソンはジョージア工科大と組んでコグニティブ無線のチップをつくったようだ。半導体インプラントではドイツのIMS CHIPSが眼球に埋め込めるCMOSセンサを出したらしい。フラットパネルやメモリでは日本の半導体も持ち直してきているが、基礎研究に抜かりがないのか気になるところ。
雇用の流動性とか産業構造とか諸々理由はあるんだろうけれども、非連続的な変化とか基礎技術の商用化ってところで日本って弱いよね。ぶっちゃけ携帯メーカーが半分くらいに減ったって激しく今更感があるけれど、基礎研究や新たな用途開発で韓国・中国に負けるようなことがあると、世界的にみて日本の存在意義ってどこに残るんだろうと悩ましい。

世の中に先駆けて低消費電力のx86プロセサであるCrusoeを開発したTransmetaを創業したDave Ditzel氏が,Transmetaを辞めた件は,2007年4月7日の話題で紹介しましたが,2008年3月8日のThe RegisterがDitzel氏がIntelに入社すると報じています。
(略)
2008年3月13日のThe RegisterがAzulの創業者でCEOのDeWitt氏が,HPの米州地域のPCビジネスを担当するSVPとしてHPに入社したと報じています。AzulはJava専用のプロセサを自前で開発し,大型のJavaアクセラレータを販売しており,一部の大手企業にも売り込んだのですが,企業としては成功せず,2007年9月29日の話題で紹介したように,新規の開発をストップしました。
(略)
TransmetaのDitzel氏と言い,DeWitt氏と言い,また,自分の会社を作りたかったのではないかと思いますが,このサブプライムバブルの崩壊で,お金を出してくれるベンチャーキャピタルを見つけるのは難しかったのでしょうね。