雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

一転して追う立場に回ったKDDI

例によって飛ばし記事かもしれないけど,引っかかるなと。W62Sの国際ローミングGSMだけとなっていた件とかね。もともとKDDIって3GでW-CDMAを採用する気があったのに,土壇場で当時Qualcommの日本法人社長だった松本さんが「もしKDDIW-CDMAで免許申請すればQualcomm自身がcdma2000で免許申請を出すぞ」とか大暴れして結局cdma 2000に収まった話は当時新聞で読んだ。仮にこの記事が本当だとしたら,これまでcdmaOneの先行と800MHz帯の伝播特性を活かしてDoCoMoSoftbankに先行してエリアを拡大したKDDIが,一転して両者を追う立場に回ることになる。

KDDIは2010年ごろにサービスが始まる見通しの次世代携帯電話について、NTTドコモやソフトバンクモバイルと同じ高速通信規格を採用する方針を固めた。
KDDIが採用するのは光ファイバー通信回線並みの毎秒100メガ(メガは100万)ビットを超す高速データ通信が可能な「LTE」と呼ばれる無線通信規格。ドコモやソフトバンクが利用している規格「W-CDMA」をより高速に進化させた技術だ。

このタイミングでのKDDIの背中を押したのは,日本でUMBを使える目処が立たないことと,直接的には800MHz帯の再編だろう。各社ともいま使っている周波数を返上する必要があり,KDDI以外は3Gから2GHz帯を使っていた。800MHz帯で3Gサービスを提供していたKDDIが2GHz帯のインフラを打ち始めたのは比較的最近で,800MHz帯を返上する向こう数年で全国網を構築する必要に迫られていた。800MHz帯と2GHz帯では伝播特性も違うので,設備の更改だけでなく新しい基地局を打つ必要もあるだろう。
WiMAX事業の展開も並行して行う中,LTEに乗り換えればMVNOとしてDoCoMoなどから地方の基地局を借りることや,逆にeMobileなど新興キャリアにインフラを貸すことも容易になる。様々なビジネスシナリオに適応するリスクヘッジの手段が増えるのである。また3対1でW-CDMAキャリアが増え,カシオ・日立など従来KDDI寄りだった端末ベンダもW-CDMA対応を進める中,同じ土俵に立つことができる。このところ端末の魅力ではDoCoMoどころかSoftbankの後塵を拝していたし。
裏を返せばシェアの高いDoCoMoやリテールに強いSoftbankKDDIがどこで勝負するのか,これから始めるWiMAXとの棲み分け,前回のような逆転劇はないかなど,気になるところではある。また昨年のモバイルビジネス研究会ではSIMロック規制を2010年まで先送りしたが,各社ともLTEで揃い踏みともなれば議論の再燃は避け難いのではないか。各社とも差別化とリスクヘッジとの狭間で頭を悩ませている訳で,2010年へ向けて,これからますます面白くなりそうだ。