雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

アーリーアダプティブ・バイアス

これは興味深いっていいたいところだけど、それって昔の草の根BBSとか、Junetとか、fjとか、Mosaicとか、Duke本が出て間もないころのJava-house MLとか、ICQとか、blogとか、Orkutとか、Greeとか、SecondLifeとか、最近のFacebookとか、みんなそうだったんじゃねーの、とか思う訳ですよ。アーリーアダプタが集まっている段階はみんなそうで、最初のうちに飛びつく人々って共通していてtwitterも今はそんな感じだけど、twitter使えるねって世間でいわれた頃にユートピアは終わっている、否、他の何かに濃い場が移ってるってことじゃないですかね。

従来のスタイルが、まったくの他人同士が初めて会ってガードを上げながらコミュニケーションしていくものだったのに対し、以前から愚痴も嬉しかったことも聞いている知り合いが、会社に興味を持って応募してきてくれたような感じで話が進んでいく。しかも実際にはお互い一度もあったことがないのに、である。

いまエッジの効いている場で採用活動をするというのは素晴らしいアイデアなんだけど、それが何故素晴らしいかというと、真似ようとしているひとがそこに来る前にやるところに意義がある訳で、大衆が押し寄せたところで2chとかmixiみたいになっちゃうんでしょうね。フォロワーが真似できないところにいる連中を採ることに価値があるのだし、それは採用側も求職側もそうだから、blogで評判になったり、ノウハウとして横で共有されてしまった途端にS/N比が悪くなる。
アーリーアダプタの巣窟であることを超えてtwitterそのもののコミュニケーション特性に特異性があるかというと、僕は疑ってしまうし、それは彼が来年や再来年も継続してtwitterで採用し続けているかというかたちで結果が出るだろう。まあ、あのエントリを読んで俺もtwitterで求職を、とか考えそうな奴は前のエントリで既に彼をフォローしているのであって、ブログエントリひとつでtwitterが荒れるかというと分からないし、twitterで採用ってネタ自体はid:fromdusktildawnの方が早かった気もする。というかblogやSNSと違って揮発性のコミュニケーションであることが、フォロワーの追随に対するひとつの防波堤となる可能性はある。
こうやって論評している僕自身、いちおうtwitterは使っちゃいるけれども、あまり使いこなせていない気もする。溜まっているような、それでいて1:1でおしゃべりしているような微妙な感じは好きだし、IRCと比べてうまくゾーニングされているなと感心してしまうけれども、結局おしゃべりかー、みたいな壁もある。ただ昔は出会い系ショートメールと思っていたICQが、Instant Messagingという名で様々なベンダからソリューション化されて、気づいたら仕事でなくてはならない道具になっていたように、Twitter的な何かが、仕事を進める上で不可欠な何かとなる日はくるのかも知れない。
たぶん今のTwitterに欠けているものはコンテクストだ。確かにfollowと@によるフィルタリングは機能しているんだけれども、誰をどういうコンテクストでフォローしているかが共有されていないせいで、結果的にはてな村しゃべり場みたいなメッセージばかり飛び交っていて、そのうちFoaFと連携して、仕事でフォロー、業界でフォロー、私的にフォローみたいな感じでコンテクストを使い分けられると、もうちよっと便利かも知れない。たぶん気持ちのモードによって、LinkedInのFoaFと、FacebookMixiFoaFを使い分けたい場合もあるんだ。或いはそれぞれ、僕に割り込んでくるスレッショルドに濃淡を持たせるとか。
そういった意味じゃTwitterミニブログとOpen-IDとDataPortability.orgの活動で一気に普及しそうなFoaFが結びついて、仕事を触発し得るコンテクスチュアルな場が出てくると、いろいろ面白い気がする。ずぼらな僕は、僕が輪に入りたい議論が盛り上がっている時にプッシュで教えてくれる仕組みが欲しいんだけど、どう検出するのが賢いかな。という訳で、Twitter的な場を濃いままで保とうとすると、どうやって場をコンテクストで仕切るかが重要になりそうで、今のTwitterのままだと昔のICQみたいに臨界点を超えたところで一気にS/N比が悪化しそう。それは同時にビジネスチャンスでもある訳だが。