雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ワーキングプアの再発見が学歴主義の裏返しであることの葛藤

僕の指摘したことは本来その土台って生活保護とか最低賃金だったんじゃないの?という話です。それが土台たり得ていないのであれば、何故そうなっていないのかを考える必要があるでしょう。これってロスジェネとかを超えた重い問題だし、突き放した言い方をすればワーキングプアっていつの時代にもいて、最近それが再発見されただけだよね、という面もあるのでしょう。一方で何故この時期にワーキングプアが再発見されたのかという背景も無視できない。

自分は、「最低つぶれないように何とか土台作って支えようよ」と言います。
この点について、私は見事な追い討ちだと言っているのです。
自己責任を持ち出すなら、はなからワーキングプアなんて社会問題じゃないって話なんですかね?そうならこの話はさっさと終わらした方がいい気がしますが。

何故ワーキングプアが再発見されたかといえば、これまでワーキングプアとはならなかった脛に傷のない高学歴若年層が、単にロスジェネ世代に生まれたという理由で、或いは博士課程まで進学してしまったせいで、真面目なままワーキングプアとなったことが目新しかったのでしょう。
ワーキングプア自体は全時代を通じて常民にとって寧ろ普通の生き様であった訳で、高学歴ワーキングプアだって団塊世代とかでも学生運動で夢破れて云々みたいな系譜があった訳ですが、それはそれで別次元の自己責任と自他ともに捉えていた訳で、真面目かつ高学歴なのに故なくワーキングプアという理不尽な側面にニュースバリューがあったのでしょう。
そういう意味で真面目に学び、そこそこ高学歴で、真面目に働いている若者という本来は投資効果の高い層を、たまたま生まれた時代の新卒採用の需給でワーキングプア層に叩き落とした新卒一括採用、整理解雇四要件ってあまりに罪深いよなと俺も思う訳だけど、逆にそれ故に、これってセーフティーネット論として捉えると、あまりにミスリーディングというか、問題を矮小化している気がする訳ですよ。
けれどもそこを突いた途端、本来どう転んでもワーキングプアとなった人々と、普通に努力をしてきたにも関わらずロスジェネ世代として生まれたが故に居場所を与えられなかった人々とを区別すべきかという議論があって、僕はこれを認めてしまうと学歴主義や年齢差別の裏返しだとも思う訳です。だってロスジェネ層って「最低つぶれないように」とかnational minimumを指向しているかにみえながら、参照点は社会の最底辺ではなく本来自分たちが祝福されるべき位置に置いてること多いし。
僕はそういう学歴主義を認めたくないので、本来ROIの高かろう人々が付加価値を高める機会を与えられず、重労働のまま社会で死蔵されているという問題に対して、そういった問題の背景にある新卒一括採用、解雇四要件を解体しつつ、彼らがロスジェネであるというコンテクストを捨象した上でROIの高い人々をエンパワーメントして社会全体の労働生産性を高めるために必要な政策を打ち、実質的な敗者復活の機会を提供できればいいなとは思います。できれば戦争といった物騒な方法ではなく。
政府が直接的に企業の採用指針や人事政策に政策的に手を突っ込むのはあまりに気持ち悪いので、できれば産業構造の転換で対応できた方が美しいんですけどね。