雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

農産物自由化と農業近代化の突破口は政治制度なんだろうな

その通り。工業生産でさえ中国へ出て行っているご時勢に、そもそも土地の狭い国で農業は保護され生産性の低い状況が放置されている。減反なんか止めてコメ価格が下がれば、内外価格差が縮まり自給率は上がる。農家が破綻するなら、破綻させればいい。そうやって経営効率の低いところから法人ベースで耕地を集約して立て直し、労働生産性を上げる契機にできる。

こうした先進国の農業保護が途上国の農業生産を妨害し、供給不足を加速しているのだ。
しかし何といっても、この分野のチャンピオンは日本だ。その農業補助金は年間5兆円と、農業所得の55%。(略)農業土木などの関連支出まで含めると、日本の農業補助の規模は12兆円。これをやめるだけで「食糧支援」の1000倍以上の効果があり、しかも財政赤字を大幅に減らすことができる。

だいたい耕地面積も利水も限られる日本で、いくら政策で駄目押ししたからといって食糧生産量は劇的には増えないだろう。むしろ農業技術をアジア全域に移転し、環境に優しく生産性の高い農業を広めるべきではないか。
周辺国との互恵関係を強化し、農産物の長期買い取り契約を梃子にアジア圏の農地開拓、近代化、高付加価値化、販路拡大を図り、日本の農業は単なる食糧生産だけでなく、品種改良や農業技術開発、事業開発といった知識集約型の産業として生き残りを図った方が未来がある。
これまでの農業補助金は環境対策やバイオ分野の研究開発、不採算耕地や林野の国土保全に回せばいい。農林土木は労働集約型産業だから、行き場のない若年層の雇用の受け皿となり得る。
問題は一票の格差が大きい我が国で、農業が常に国策というよりは地方有権者に対する政治家の人気取りに翻弄されてきたことだ。農家戸別補償なんか最たるものだ。どうして農家の所得を増やせば農業生産が増えるのか、何ら説明がない。
年金とか後期高齢者医療とかロスジェネとか格差とか、もはや多くの政策課題が地域対立よりも世代や立場の対立に起因していることを考えると、国政は全国区・比例代表に絞って一票の格差を根絶すべきではないか。地域政策は道州制地方分権でカバーすればいい。地方軽視といわれそうだが、地方の利益を代表する議員が税源委譲や地方交付税交付金を勝ち取ればいい話だ。一票の格差がなくなれば、声は今より小さくなるだろうが、それが適正水準なのだ。
最後こうやって床屋政談に落ちてしまうところとか、今の選挙制度一票の格差に手を付けない限り農業は聖域なんだろうなという絶望である訳だが。