雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

移民奨励の前に移民福祉特区で費用試算を

隣国の政治経済が今後どうなるか分からないこともあり、僕はいずれかなりの移民を受け入れざるを得ない状況が現出する可能性は否定しないけれども、日本は既に結構な数の日系ブラジル人不法滞在者を受け入れていながら、子女に対して十分な教育を提供できておらず、在日中国人・朝鮮人とも複雑な関係があり、現段階での移民奨励には強い違和感がある。

グローバルな競争に勝ち抜くために、移民を奨励するというカードを切るのは、勝って利得が見えない勝負に手持ちの全チップを張る策にしか見えないので、保守主義的観点から見ると賛同できない、というだけです。とてもじゃないけど、日本人が膨大な移民、例えば全人口の5%なり10%なりを受け入れる、というような心構えを総意で持っているとは思えない。

まずは既に公式非公式に受け入れている外国人について、円滑に住宅などを借りられるか、適切な医療を受けられるか、日本語を母語としない子女に適切な教育を提供できるかといった点で問題を一歩一歩解決していきながら、移民受け入れの敷居を段階的に下げていく必要がある。そういった負担は政府だけに押し付けて、企業が低廉な賃金で移民から搾取する構造は避けなければならない。移民からの搾取は同時に、移民と賃金で比較される国内の単純労働者からの搾取にも繋がる。
民間での受容・医療保険・外国人教育といった費用を負担せず、ただただ廉価な労働力として移民を搾取したいという発想は虫が良すぎる。かかる費用は受け入れ企業と自治体の折半で受け入れるべきだろう。いきなり日本全域で移民を増やすのはリスクが大きすぎるので、まずは移民に依存している地場産業を抱える地域のどこかで移民福祉特区をつくり、最初は国からの持ち出しも覚悟で移民が日本に定住して健康で文化的な生活を送れる環境を整備し、移民受入にかかる社会資本整備費用を正確に試算し、移民受け入れ政策の実現性を検証すべきではないか。
移民受け入れも外部費用をいれると意外とコストがかかると分かれば、少子化対策と費用対効果を比較することもできる。若者から搾取できなくなったら移民に目を付けるといった無責任で自己中心的な政策は、格差拡大や治安悪化といった様々な軋轢を生み、結果的に高い社会的代償を支払うことになるのではないか。