雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

日雇い派遣をどうすべきか

そもそも近代ヤクザの成立は港湾荷役とか炭坑労働といった単純肉体労働の口入れ稼業からきている。現実問題として市場で需要のある日雇い派遣に対して、単に禁止するような措置を取れば、闇に潜るだけとなってしまうかも知れない。
問題は日雇い派遣そのものではなく、その状況が恒常化してしまうこと、その背景として職を転々とすることで職業能力が蓄積されないこと、職業訓練などの機会から排除されること、健康保険などの社会保障から零れ落ちてしまうこと等がある。
従って日雇い派遣や日雇い労働を禁止すべきという話ではなくて、かかる人々に対するセーフティーネットの整備こそ喫緊の課題ではないか。また階層間流動性を高め、質の高い雇用そのものを増やすには、正社員保護の緩和も重要だ。
いまの派遣会社がそうなっているかは別として、日雇い労働者が派遣会社に登録されていることは、そういった日雇い労働者に対する職業訓練社会保障、キャリア形成を支援するプログラムを提供するチャネルとして機能するように誘導できるかも知れない。
正社員の特権を維持したまま派遣業法の対象をネガティブリスト化したことは失政だったとしても、日雇い派遣が問題になったから単に禁止しよう、派遣会社を叩こうという発想は、安直なポピュリズムに過ぎない。ちゃんと問題を腑分けして、現実的かつ前向きな対応を図る必要がある。

違法派遣の横行が指摘されている日雇い派遣問題について、舛添要一厚生労働相は13日、閣議後の記者会見で「決して好ましいとは思っていない。やめるような方向でやるべきではないかと思っている」と述べ、労働者派遣法の改正も視野に同問題の改善に取り組む方針を明らかにした。

そもそも日雇い労働は昔からある。日雇い派遣を禁止したら、日雇い労働はどうするのか。「不安定な就労形態はよくない」というなら、後者のほうが不安定だから、論理的には日雇い労働はすべて禁止しないとおかしい。建設業や荷役作業など、単純労働の多い産業は大打撃を受け、失業者があふれるだろう。

とりあえず、「使い捨て雇用はやめよう」という本質の判断をしたいのならばそんな短絡的な判断をせずに、日雇い派遣を「希望している」or「希望してないけどしょうがなくなっている」人が どういうバックグラウンドで それは誰が「利」を得て、誰が「損」を被っているのか ちゃんと分析して何なら変えられるのか考えろ.その前に雇用者がどういう生活を送ってほしいのか、意志を持った方がいいんじゃないのか?そのために何ができるか、だろ.

ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)

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