雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

誰もこれからガラパゴスは望まないっしょ

日本向けのWebサービスといっても、GoogleとかLiveはグローバルだし、Yahoo! Japanも資本はさておき技術的にはYahoo! Corpの技術を踏襲している訳で、日本だけで何か特別なことは起こりそうもない。iPhoneAndroidでケータイのPC化は見えているけれど、ケータイ的な世界がPCに浸食するとは考え難い。
ケータイとネットの融合といっても、FMCって固定キャリアが移動ARPUの一部に触手を伸ばすために注目しているものの、実需がみえないのが実情ではないか。NTTの場合は持株がドコモの手綱を握る口実となっている感もあるが、SoftbankKDDIはNTTからFTTHアクセスを借りざるを得ず、競争で固定サービスを強化しようにもROIが悪い。当面は法人向けIPセントレクスや店舗向けフェムトセル等に留まり、端末プラットフォームには波及しない公算が高い。固定系で唯一オペレータが仕様を握りそうなのはIPTV STBだが、これも日本の場合はIPTVフォーラム仕様に相乗りの方向だ。
そもそも固有IDを使った認証は、i-mode開始時の1999年、公式サイト向けの技術的判断としては悪くないが、半導体の性能が向上し、通信が高速化し、勝手サイト隆盛の今日にあって一刻も早く捨てるべき脆弱な技術である。少なくともPCとインターネットの世界では1999年の段階で消費者団体からNoを突きつけられている。
問題はケータイがいつ固有IDを捨てるべきかといった問題であって、PCの世界に固有IDが持ち込まれることに対する杞憂は不要だ。仮にNTT法の規制緩和ISPの集約が進んだとして、料金プランや相互接続料金で競争することはあっても、プラットフォームを握ることは難しいのではないか。
i-modeの時はドコモが端末仕様を握っていたが、今やケータイを含めて誰もが隅から隅までは端末仕様を握れなくなっているし、そこそこ資金があっても何かに一点賭けするよりは、カバレッジを上げることの方が重要となりつつある。性能向上で端末も網も柔軟性が増しており、認証や課金も複数の方式を併存させることが難しくなくなった。
いまのネットのような混沌も困るので、次世代ケータイでは認証について、恐らくネットでも使えるオープンかつ安全な技術をベースに、複数方式の併存を認めつつ、キャリアとしてエクスペリエンスを重視してコーディネートした方式を課金と紐付けて推奨することになるのではないか。

ケータイと固定網ISPサービスとFMCが一つの契約で料金安くて他にインターネットに出るためのISP契約が要らない、という状況が仮に生まれたとして、そこであえてFMCしないとか、インターネットのために別のISP契約をするとか、そういう選択は、ごく少数派のものになり、そして日本むけWebサービスがPC向けも含めて契約者固有IDの送信を求める方向に動いてしまえば、「PCもケータイWeb同様に固有IDの送信を義務づける」という法案が無くても、あとはネットワーク外部性で市場の中で「日本のインターネットが終了する」ということは、ありえないことではないだろう。