雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

立法技術的に云々

日本は大陸法だからフェアユースは難しいというのが定説と認識していたんだけど、やればできそうじゃん。これまでの議論は何だったのか。閣法と議員立法で敷居が違うので、議員立法でできるという議論なら一理あるが。専門性の高い領域でありがちなことではあるが、実装担当者の一存で、できたりできなかったりというのは如何なものか、と書いたが、著作権法の権威が翻意したから動いたのであって、担当者が情熱を持ったところで有識者の意見が保守的なら難しかったのだろう。時勢とかタイミングの重要さを痛感させられる。
プログラミングの世界でも、プログラマーが「できない」といっていたことが押し問答でできるようになることがある。単にプログラマーが馬鹿だったり保守的なこともあるし、やればできるけど実装として美しくないとか、ガラス細工だし例外が諸々出てくるからお勧めしないよ、という含意がある場合も。そこで押し切るには実装者のコトバを解し、手法をいくつか提案し、場合によってはサンプルコードを起こして渡すとか、はぐらかされないくらい前例や似たような事例で切り返せる必要がある。
法律の場合だと内閣法制局は杓子定規だが、議院法制局は提案者の移行を尊重しつつ何とか法文に落とすようだ。時に立て付けが怪しかったり、横書きに勝手に書き足した法律が出てくることもあるが、安易な権利制限を官僚主導では難しい一方で、輿論や政治主導であれば認められるというのはバランスとして悪くないのかな。議員立法も省令は所管官庁で起こして内閣法制局が詰めるので、後工程で官僚が苦労するようだけど。

【速報】知財本部のデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会で、中山会長が「フェアユースについての合意はほぼ取れた」と宣言したらしい。来年の通常国会でいよいよ本格導入だな。

中山先生はご著書『著作権法』(有斐閣)の中では,フェア・ユース規定の立法化にうしろ向きと読める記述を書かれているように私は認識していたのですが,最近になってフェア・ユース規定は必要だという方向に「考えを変えた」との見解の表明を明確にされました
規定ぶりとしては,民770条(離婚要件)の規定を参考にした形で,一般条項を盛り込むのが望ましいとのことでした。