雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

日雇い派遣の禁止はポピュリズムか

今夜ホテルの前にあるシネコン"Step Brothers"をみた。40前のNEETを抱える男女が再婚し、義兄弟となった二人が居場所のために両親のリタイアを妨害する?みたいな話。どこの国にもNEETみたいのっているんだろうけれど政治問題になるのは日欧で、これは雇用の流動性とも関係あるんだろうなー、とか考えさせられる訳だが。それはさておき日雇い派遣の禁止はみのポリティクスだという池田さんのご指摘は一理あるんだけれども、じゃあどうすればいいのかというと微妙だよね。

舛添氏は、日雇い派遣を禁止したら、企業が彼らを正社員にするとでも思っているのだろうか。企業は慈善事業ではないのだから、労働需要は同じコスト(以下)で雇えるアルバイトや請負契約にシフトするだけだ。単純労働への需要がある限り、短期雇用や派遣労働をなくすことはできない。問題は派遣業者の搾取や酷使などの違法行為であり、それを防ぐにはこうしたビジネスを禁止するより、合法化して公的に監視するほうが有効なのだ。

秋葉原の事件は日雇い派遣じゃなく製造業派遣の問題だから、日雇い派遣の問題はもともと我田引水の感があったし、財界の顔色をみて製造業派遣禁止には踏み込まなかったか、グッドウィルは政官財から嫌われているんだなあ、とか下司の勘繰りをしてしまった訳だが。経済学の理屈で監視強化が正しいとして、今の政治状況で「派遣業に対する監視強化のために公務員を増員します」といった提案が通るとも思えず。
派遣業法が実態として立法趣旨から大きく離れていることは問題で、過激なことをいえば1999年時点のポジティブリスト方式に戻すのも筋としては通っている。では規制の厳しかった時代に単純労働への需要がどうなっていたかというと『ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)』とかにも書かれている。規制緩和・規制強化というと前者の方がグッと耳当たりがいいが、蓋を空けてみたら実はカレー味のウンコかウンコ味のカレーかといった選択なのかも知れない。グレーゾーン金利の廃止にしても日雇い派遣禁止にしても意図しているかは別として、現政権は国民重視といって結果的にヤクザ復権へと舵を切っているようにみえる。
若年雇用問題に対する対策の本筋は派遣に対する規制強化ではなく、労働基準法等の取り締まり強化と社会実験に基づくピンポイントの職能教育・就業支援、正社員保護の段階的緩和等であるべきではないか。これまでとの一貫性を重視する官僚にも、労組を支持基盤とする民主党にも難しい政策を打てる好機なのに、自民党・舛添大臣は何をやりたいのか。誰の顔を見て政策立案しているのか分からない。