雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

政治力のなさを嘆く前に

高齢者の雇用延長が若年失業を生んでいるのは一面の真実だが、それは必ずしも選挙を通じての直接的な政治力の行使によってではないだろう。公約等を調べれば分かるが、若年失業について高齢者を擁護する方向で何らかの政治力が働いてはいない。特に政治力が働かなくとも、団塊世代の人口分布が動態を歪めているのと、企業が新卒採用ではなく雇用期間延長に舵を切るいくつかの理由がある。また動態でみて女性が強いのは、そもそも正社員割合が低く差別されていた分、落ち込みが男性と比べて限定的だったのではないか。

この国で、誰が権力を持っているのか、よくわかるでしょ?
右から“強い順”です。
おもしろいのは、「シニア世代では相変わらず男性が強い」けれど、その下の年齢層では女性が男性を圧倒しているということ。たとえば35歳以上女性の正社員数プラス幅は大きくはないけど、同世代の男性と比べると結構健闘しているとも言える。これは若者層でも同じ。35歳以下の男性の負けっぷりと比べれは、女性の負け分は半分に収まっている。
ふーん。

選挙には行ったほうがいいと思うけれど、選挙で投票すれば、或いは他の何らかの方法で政治力を得て、政策的措置をすれば若年失業の問題が解決するかというと、なかなか難しいのではないか。結局のところ企業が若年層を新規に雇用するか、或いは高齢者の雇用を延長するかの判断に当たっては、教育・スキル移転の費用、その事業の長期的先行きなどの期待が大きな影響を及ぼすのであって、業績の長期見通しが不透明なほど、熟練しており解雇の容易な高齢者の雇用延長が合理的選択となるだろう。年金支給開始年齢の引き上げが雇用延長を促していることもあるが、支給開始年齢を引き下げれば若年雇用が増えるかというと微妙ではある。
政治力がないことを嘆くのもいいが、無闇に世代間対立を煽る前に、若年失業解消へ向けて政府がすべきことは何か、もっと詰める必要がありそうだ。僕も妙案はないのだが、時間をかけて考えてみたい。