雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

geek虎の穴をつくろう

今回の集中講義は予想以上の成功だった。だがid:shi3zのいうように、真のトップノッチを育成するには大学院といわず早ければ小学校高学年くらい、遅くとも学部生の段階で引っ張り上げて視野の広がる機会を提供し、実際いくつかのプロジェクトに関わらせ、大学院生の頃には英語と5つくらいのプログラミング言語は押さえて国際的に活躍し始めるくらいのテンポが必要ではないか。

もっと若い相手、たとえば高校生や大学1,2年生などを対象に、もっと幅広い講師を呼んで講演会を開き、刺激を与えた方が「真のトップノッチ」育成には役立つのではないか。
そのために経団連文科省と組むというややこしい取り組みよりも、民間だけでそういうことを企画して実施するという手もあるのではないか。

ビルゲイツも高校時代から仕事を取っていたし、id:shi3zは中学からだっけ。僕は浪人、留年しているので学部を出た年齢はストレートの修士と同じだが、学部の卒業までには自分が設計・構築したシステムやサービスがいくつもあったし、ベンチャーに入社して上場時にオプションも貰い、サービスに関連して特許を申請したり、オープンソース・プロジェクトにも参加していた。自分のベンチャーはつくらなかったが、いくつかの会社は立ち上げから関わったし、VCから起業を勧められたり、米国の無線ベンチャーデューデリジェンスを手伝ったこともある。
社会で活躍するにはトップノッチの技術力があるに超したことはないけれど、実際のところ幸運の女神の前髪を掴んで振り回すくらいの度胸と場数を踏んだ経験、そこからきた自分に対する自信も大切だ。コミュニケーション能力というと抽象的で、どう身につければいいんだよって話になるけれども、結局のところ場慣れして話が早いってことだろう。そのためには場数を踏むのが一番の近道だが、そういう機会をどう提供するかが問題となる。
そしてこれが非常に重要なことだが、育てなきゃならないのはトップノッチの技術者だけではなくて、彼らをサポートする営業やマーケティング、周囲の成功した大人たちからの暖かい支援、彼らが円滑に事業を行える事業環境ではないか。天才プログラマーが重層的な下請け構造の中、世間の相場を知らず人月50万円とかで搾取されていたら洒落にならない。日本に足りないのはトップノッチの技術者ではなく、彼らを能力に応じて処遇する仕組みや、彼らが起業して伸び伸びと成功できる環境ではないか。
多くの日本企業が残念ながらgeekをリスペクトし、技術力に相応しく遇する環境にないからこそ、最高学府の選り抜き半数弱をグーグルに取られる体たらくになる。優秀な若者が世界に活躍の場を求めることを妨げるべきではないが、国立大学には多くの税金が投入されている訳で、上澄みを根こそぎ持っていかれているとすれば国家的な損失だ。
恐らく優秀なプログラマーなら日本にも少なからずいる訳で、私塾ではgeekに対してグローバルな視座や搾取されないだけのビジネススキルを獲得できる機会を提供し、geekだけでなく、彼らが活躍できる環境を整えることのできるようなサポーター、具体的には優れたビジネスマネージャやマーケティング、政策立案者も育てる必要がある。手をつけられそうなところから具体的なカタチにしていきたい。