雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

群れるリトルブラザーの近未来

近未来の地図サービスではストカーによる巡回だけでなく、デジカメ写真や自動車のカメラ映像のアップロードを受け付けて三次元空間に合成する。デジカメにはGPS地磁気センサーが載ってGEOタグを付与し、カーナビは常時接続でオプトイン形式で地図サービスと密接に連携する。たくさんの画像を重ね合わせ、プライバシー保護のため衛星写真から雲を取り除く要領で人や自動車は表示から消され、地図サービスと組み合わせるだけでなくフライトシミュレータやメタバースに素材として提供される。
住宅街ではプライバシーに配慮して大人の目線に近い高さから撮影。わざと実写風ではなく3D CGにマッピングされ、公開・共有されている写真は構図のアングルで3D地図に貼り付けられ、時系列で過去に遡ることもでき、四季折々の風景を楽しめる。サービス提供者向け撮影拒否コードが標準化され、建物の所有者は二次元バーコードまたは無線タグ等で撮影拒否を表明できる。その場合、撮影拒否された建物はCG等に置き換えられる。撮影拒否された場所を地図から俯瞰することはできない。
けれども内部では個々の画像に写っている人や自動車について、顔認識やナンバープレートの数字認識でメタデータ化。捜査機関からの開示要求に基づいて、交通事故現場の証拠写真や、指名手配犯の検索に応じる。個別の照会には応じないが、ひとの導線を統計データ化したものについてはマーケティング情報に加工して販売する。
本人や所属組織からオプトイン形式で追跡の申し込みを受け付けることで、携帯電話の位置情報とカメラ画像に基づく所在証明サービスを提供する。こういったサービスに登録した方が勤務の柔軟性が高まり、おかしな事件で嫌疑をかけられずに済み、保険料が安くなる。多くの飲食店もカメラと画像認識を導入し、近隣にある行きつけの店の混雑状況は一発で把握。最初はちょっと気味悪いけど、慣れれば意外と便利だよね。
冤罪の危険が大幅に減って、交通事故の捜査も正確になり、犯罪の検挙率も上がり、行政コストは下がる。映像の監視には多大な人件費がかかるので、機械的に膨大なメタデータと突き合わせて無数のカメラからの情報を意味づけし、組織化した方が効率がよいということで、これまで個別に管理されていた警備会社やコンビニの運営する監視カメラも映像クラウド事業者に移管される。行政機関の持つ監視カメラも、市場化テストクラウド事業者に移管される。警察・防衛関係のカメラを移管するには抵抗が大きいが、カメラで撮影されているにも関わらず人為的ミスで検知できなかった事案が出てくると、財政再建重視の政治勢力からは民間に業務委託すべきという声が上がる。
ちょっと数年後には現実的なディストピアを考えてみたんだけど、これって何が問題かな。