雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

製造業派遣と労災との関係

そもそも労働者派遣法がポジティブリストだった時代の職種と比べて製造業の労災が多いことは容易に想像できることで、製造業派遣を解禁してから派遣労働者に占める労災が増えたかではなく、製造業正規雇用と製造業派遣労働とで労災に遭う比率に差があるかを調べるべきではある。とはいえ製造業派遣について再び禁止するかは別として、場合によっては何らかの見直しが必要ではないか。
直接雇用であれば採用に当たって業務と照らして適性をみるし、安全教育なども徹底するだろう。派遣業者と現業とが切り離されてしまうと、派遣業者はともかく集めて送り出して手数料を稼ぐ、現場は安全教育を受けた労働者という前提で接するといったモラルハザードを招く誘因がある。いずれにしろ不景気で派遣労働者の雇い止めが増えているし、派遣業法の規制再強化に対する財界の反発は数年前と比べて小さいかも知れない。
報道をみる限り厚労省まとめは数字の分析として詰めが甘い気がするが、仮に製造業派遣の解禁で労災そのものが増えているようであれば、生身の人間が危険と直面して働く環境で、利害関係者に責任を持った対応を促す仕掛けを考える必要があるのではないか。そもそも、ポジティブリストからネガティブリストへ転換した段階で、派遣法の立法趣旨と運用実態とが乖離している現実もある。
そもそも正規雇用非正規雇用といった表現そのものが政治的に間違っているし、多様な労働モデルに対して中立的で、立場の弱い労働者のキャリア形成を支援し、雇用調整を特定の世代に皺寄せしないような労働規制と雇用慣行を考えるべき時期が来ているのではないか。

業務経験の短い派遣労働者の採用増加によって労働災害の被害者数が急増している。厚生労働省の調査によると、2007年に労災被害にあった派遣労働者の数は5885人と、製造業への派遣が解禁された04年(667人)の約9倍に膨らんでいることが分かった。

これはどうなんでしょうか。労働災害はもちろんあってはならないことですが、派遣だろうが直接雇用だろうが、製造現場では災害が多いということに変わりはないのではないでしょうか。こういう言い方だと、派遣が労災にあうのはいけないが、直接雇用ならかまわない、というように取れてしまうと思うのですが、考えすぎでしょうか?