雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

経団連企業が移民を受け入れる前にすべきこと

新宿とかで飲んでいると、割安の飲食店とかコンビニでは結構な割合で外国人店員さんで、世田谷区の保育園とかでも同級生で何人かは外国人だったり混血だったりするし、現実問題として国際化って進んでいる訳ですよ。どんなペースで進めるかってことと、どんなひとが集まるかってのが問題でね。

結局のところ日本に入ってくるのは、単純労働力ではないものの、高度な人材というほどでもない一般的な労働力といったところだろう。そうした労働力をどんどん入れることによって、企業のコスト削減を目指し、企業の経営を安定化させようというのが、日本経団連の狙いなのではないか。

人は輸入できる。
希望は、輸入出来ない。
自分たちで何とかしなければならないのだ。

で、優秀な人が来るか否かってのは子息の教育インフラという問題であったり、本人のキャリアパスで希望があるかって話になるわけだ。で、経団連企業でも最近は日産のゴーンさんとかソニーのストリンガーさんとか外国人社長が出始めている訳だけれども、まだまだインド人とか中国人の役員って少ないよねー。で、僕が中国やインドの10億人が分母の競争を潜り抜けたエリートだったとして、既にインド人、中国人のVPがごろごろいる欧米のグローバル企業と、役員はみんな新卒入社で年長の日本人ばかりの企業と、どっちに入りたいと思うかって問題なんだよね。
で、学校も産業界も外国人を受け入れる体制のないまま、敷居だけ下げたときに起こることって、工場で踏ん張る気のないニートたちが「外国人単純労働者が日本人の雇用を奪っている」とか蜂起しそうな状況だったりするのかな。僕なんかロスジェネど真ん中として切実に思うのは、新卒一括採用で就職し損ねたひとのうち、野良で専門性を身につけた人を中途で採り、あとは無理をいっても安く働く外国人労働者を採り、あぶれた人々は国からも企業からも見捨てられ、親の臑をかじったり、ワーキングプアになったりするのかな。それでも日本に工場があるうちはまだよくて、海外生産の割合を増やす会社が増えるのだろう。それってどこに希望を持てるんだい。
で、結論としては移民政策おおいに結構、けれども若者や移民をどう育てていくか、どれだけ魅力的な人々を我が国に呼び込むか、真面目に考えようぜってことだ。メーカーは日本で米国工場並に工員に高給を払っているだろうか、直接雇用しているだろうか。日本人新卒の叩き上げだけでなく、中途採用や外国人の役人などキャリアパスの多様性はあるだろうか。
国にとって国内外を問わず、若者こそ希望だ。そして若者は希望のあるところにしか集まってこない。高度人材の誘致へ向けて希望を醸成するには、活躍できる機会を提供し、子息の教育インフラにも投資しなければならない。搾取しようったって、裏目に出るだけだ。海外の若者に希望を与えることこそ日本の未来に希望を繋ぐ鍵であり、国だけでなく企業にも大きな役割が期待される。隗より始めよということであれば、経団連の問題提起は大いに素晴らしい話じゃないか。
ちなみに僕が経団連の高度ICT人材育成で教鞭を執っている九州大学大学院は助教がインド人だし、それ以外にも現場じゃ国際化がだいぶ進んでいるようだし、遠からず経団連企業の多くは、かれら自身のために隗より始めるんじゃないかな。海外に拠点なり工場をつくって人を育てて内部昇格させるまでに10年とか20年とかかる訳で、今はちょうど過渡期かも知れない。というか、どうせやらざるを得ないんだからあとは見せ方とか段取りを工夫した方がいい。