雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

アボセンスについて頭の体操

アボセンスは契約解除の通知が一方的であること、これまでの債務まで一方的に破棄されてしまうこと等が問題だと感じていて、少し調べてみた。お金を受け取る契約なので消費者契約法の対象外で、事業者ではないので下請法の対象外と思い込んでいたが、改めて調べたら個人も下請法の対象ではあるようだ。

広告収入を得ているサイト運営者やブロガーたちは、Adsenseの配信停止のことを「アボセンス」と呼ぶ。なんでも評点もついに「アボセンスを食らった」(あるいは「アボられた」)のである。

  • Google AdSense Online標準契約に基づく広告掲載は下請法の保護対象か → 広告掲載は下請法上の役務提供委託に当たるか、外国企業は親事業者に当たるか、いずれも疑問。
  • 決済手段としてみた場合、前払い型のアドワーズはサーバ型の前払式支払手段、アドセンスはポイント・サービスという整理で正しいか。
  • 日本人を対象とした、日本語による、日本の金融機関と連携した決済サービスは、外国の事業者であっても日本の金融庁による規制の対象となるか。 → サーバー型電子マネーやポイント・サービスに対する規制の動向によっては対象となる可能性も。
  • アドセンス口座の一方的な終了は、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たるか。また、その場合に日本の独占禁止法を域外適用することは可能か。→ 独禁法の審決なら日本で裁ける可能性があるのかな。
  • 約款上は「本契約に基づくまたはこれに関連して生じる一切の紛争または請求については、カリフォルニア州サンタクララ郡の裁判所において裁判が行われる」ものとされているが、日本で訴えを起こすことは可能か。→国際裁判管轄法制については条約の話も進んでいないし、民事訴訟を起こすことは難しそう。

ちょっと調べた限り日本法での保護は期待できそうもない。いずれポイント・サービスについて規制がかかった場合に、アボセンス以前に溜まっていた広告掲載料は保護される可能性が考えられるが、これも属地主義との整理を要する。これから国境を越えたクラウドソーシングやポイント決済が普及されると予想されるが、利用者保護への道のりは遠いね。
わたしは法律について全くの素人なので、これらの論点について専門家の見識をお伺いしたいところ。国際的なB2C、C2C取引が増える中、国内法人と海外法人との間であまりに規制の非対称性があると、産業や司法、利用者保護法制の空洞化が懸念されるけれど、どうバランスを取るか考える時期に来ているんじゃないかな。
この辺の検討はEUが進んでいそうだけれども、法律があっても適切に執行されているとは限らないから難しい。