薬のネット販売 ルールは必要だが省令改正での全面規制は姑息
埼玉の自殺未遂事案は楽天に出店していた薬局が製薬会社の指示を守らなかったことが問題で、薬のネット販売を規制する「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」を何ら正当化するものではないし、2年前の事案が今になって表面化したことに強い作為を感じる。
未成年の男性がインターネット経由で鎮静剤を大量購入して服用し重い障害が残ったとして、埼玉県在住の父親が17日、厚生労働省内で会見し、ネットによる薬の販売を規制するよう訴えた。薬害問題に取り組む団体「薬害オンブズパースン会議」も同日、実態を調べるよう求める要望書を同省に提出した。
ネットでの薬品販売について、海外の業者が日本語で日本人向けに違法薬物を販売していること、悪質な一部の薬局が店頭と異なる規範で薬を販売していること、Google AdSenseやAdWordsで薬事法や健康増進法の趣旨を逸脱した表現が散見されること等について問題は感じている。
しかし、これまでの放置から一転して全面規制とは、行政としてあまりに杜撰かつ横暴な対応だ。これでは街の薬局・薬店の保護と受け取られても仕方ないし、却って薬のネット販売が闇に潜って適正化が難しくなることが懸念される。
いま必要なことは、ネットを使うことで薬品の効用や関連する学術論文など詳細な情報提供が可能となる等のメリットを活かしつつ、店頭での対面販売と同レベルの安全性を担保するための制度を検討することだ。例えばクレジットカードやICカード保険証による本人確認の強化、販売ルールの整備、処方箋の電子化、広告表示の適正化について広告配信事業者に責任を持たせることなどが考えられる。
姑息な省令改正で安直な規制強化を図るのではなく、広く国民で議論して適切な法制化を検討すべきではないか。
医薬品の適切な使用を促進するには、医薬品の流通に係るすべての者が、それぞれの販売方法の特長に応じた最善な情報提供のあり方を議論し、国民にとって何が有益なのかを考えることが重要だと考えます。
不妊に悩む人にマカを勧めること自体はあくまで表現の自由の範ちゅうである。しかし、Web ページにおけるこのような状態は、健康食品の広告を規制する薬事法や健康増進法などの関連法規逃れではないか?