雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

SNS規制の山場は来年2月

警察としては出会う可能性のあるサイトは丸ごと出会い系サイトとして規制したい。ところが年齢確認を厳密にやって未成年を弾く必要があるとなると、SNS事業者としては受け容れ難い。しかし少年犯罪被害は起こり続けるけどどうしよう、みたいな。
昨年の統計で非出会い系サイトでの少年犯罪被害が出会い系サイトを逆転し、昨年12月からは改正出会い系サイト規制法で未成年が出会い系から概ね閉め出されるんで「SNSこそ犯罪の温床」という構図が更に顕在化する公算が大きい。今年上半期の統計が出るのは8月、国会日程を考えるとこの時点は執行猶予で、通年統計の出る来年2月からが政治的な山場になるだろうな。
そろそろネタ詰まりってか事業者にできることってあまりない。むしろSNSで少年犯罪被害が増えているのって制度上の不備が大きい。具体的には出会い系で児童を誘因すると犯罪だが、SNSでは犯罪にならない。あとペドは男性が男児を誘う場合もあるが、これも「異性間」じゃないからカバーされていない。
まずそこをどうにかすべきで、出会い系サイト規制法6条の児童誘引禁止規定を、サイト等の限定を外して児童福祉法にコピペしてはどうか。行為規制にすれば日本人同士の児童誘引は海外のSNSもカバーできるし。現行法がそうなっていないのは児童福祉法法務省の管轄だからで、警察庁から提案することは難しくても議員立法なら難しくない。
あと問題の本筋はネットへの書き込みが規制されていないこと。特に組織的な援助希望の書き込みとか、売春禁止法違反でバンバン摘発したらいい。米国ではFBIに専門のチームを持っているが、日本では県警単位で動くからネットの書き込みを取り締まることに消極的。これも将来的には警察組織をどうすべきか考える必要があるけど、当面は違法な書き込みに対する発信者情報開示を迅速に行える枠組みをつくり、発信元の県の警察で犯罪として認知する枠組みをつくってはどうか。
年齢確認の在り方も考える必要があるけれども、各サイトがばらばらに行うことは負担だし、携帯電話事業者とコンテンツ事業者の間でどう受け渡すか中長期で検討すべきではないか。児童をSNSから閉め出すことは必ずしも得策とはいえず、悪意ある大人が児童を騙って同世代を装って近づこうとすることを防ぐことも考えられる。
4月頃から新聞によるネット叩きが顕在化しており、8月には更に盛り上がるだろう。しかし着実に手を打ったネット事業者と比べて、行政による制度検討や摘発強化の取り組みは出遅れている。打つ手なしの状態をあえて放置して、ネット・オークションの時のように天下り先を増やそうとしているんじゃないかという穿った見方もある。
総選挙後の政局次第ではあるけれども「携帯コンテンツ規制を強化すべき」という声に対しては「事業者は現行法の枠内で打つべき手は打っている。さらに締め付けたところで海外に流れるだけ」「まず犯罪者を捕まえることが先決。そのために児童福祉法改正と、違法な書き込みに対する摘発強化を」と訴えたい。