雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

政治的に正しいソーシャルWeb開発に必要な想像力と多様性

mixi同級生を始めたのだが登録で戸惑い、多様な経歴への配慮に欠けていることに驚いた。学校を留年や中退した場合の入力方法が分からないし、あらかじめ用意されていた部活しか登録できず、在籍当時にあった学科が表示されない。きっと開発者は学校を転校も留年も中退もしたことがなく、出身校や学部が廃止や名称変更になった経験もないのだろうか。
わたしは中学で留年したので卒業は1993年だが、入学時の学年での同級生が探す場合の便宜を考えて本来の学年である1992年で登録した。後から経歴詐称になってはまずいと考え直して変更しようとしたが、記述を変更できない上に消去すると180日間は再登録できないという。高校も1994年に中退したが、指示に従って登録すると1995年卒業とされてしまった。卒業年ではなく入学年や在籍期間なり嘘のない内容で入力できないものか。転校やら留学で複数の学校にいた人々も少なからずいるはずだが、彼らはどう入力すればいいのだろうか。
部活動もあらかじめ用意されたカテゴリーしかなく、わたしの在籍していた新聞部は入力できない。大学の入力で驚いたのは、神奈川大学経済学部で選べるのが経済学科と現代ビジネス学科しか選べないことである。わたしは経済学部だったから正しく入力できたが、貿易学科(2006年度から現代ビジネス学科に名称変更)の卒業生が登録する場合は戸惑ったのではないか。細かいことをいえば予備校も登録できるのだが、わたしのいた河合塾駒場校や千駄ヶ谷校は選択肢になかった。
技術上の失敗は正確なマスターを用意することの難しい項目まで無理に正規化しようとした点にある。経歴を扱う場合はデータが長い期間にまたがるが、網羅的なリストの整備されていない部活や、過去の履歴を追うのが困難な学科名や予備校校舎は自由記述でタグ的に管理すべきだった。あえて柔軟性のないマスター管理にした理由を考えあぐねたが、マーケティングに悪用されないようアクセス制限をかける場合に自由記述では管理が煩雑だったのだろうか。
プライバシーも重要だが、ひとの経歴を扱うにも機微がある。わたしのように開き直って公表している場合はさておき、気を悪くして登録を断念した人々も少なからずいるのではないか。特にソーシャルWeb系のサービスを設計する場合には、世の中には様々な生き方があることへの想像力を巡らせる必要があり、そのためには開発チームやテスターに多様性が求められるのではないか。LinkedInやFacebookは比較的よく考えられているので参考になるだろう。