雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

そろそろ議論すべきユニバーサルサービスの今後

そろそろ通信に於けるユニバーサルサービスの再定義が議論されている頃かなあと思っていたのだが、ICTタスクフォースの中でも隔靴掻痒の議論しか出てこない。津田さんのTLみると多少は「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」で話されたのかな。個人的にはメタルの電話サービスではなく、携帯電話の通話とデータ通信をユニバーサルサービスに据えるべきだと考える。FTTHやら固定系のブロードバンドは停電やら災害に弱いし、緊急通信も今や9割近くが携帯電話から発信されているからだ。
携帯電話の基地局は予備電源を持ってるだろうし、携帯電話はもちろん電池を抱いているから停電時それなりに機能する。電話をコンセントにつなぐだけで加入者宅の工事も必要ない。1週間くらい持つ大きな電池を内蔵したケータイ黒電話をつくるといい。山間僻地に基地局を置けば、そこに住む世帯だけでなく遭難者から連絡できる可能性も増すかも知れない。
問題はその場合に誰がユニバーサルサービスを提供し、その費用をどう分担するかだ。現行のユニバーサルサービスをNTT東西が提供しているように、現段階で最も基地局を多く展開しているドコモが提供するのが自然ではある。ところがユニバーサルサービス基金には全ての事業者が拠出しているのだから、相互接続を義務付けるべきだという議論も考えられる。そうすると中途半端に辺鄙な地域では特定の事業者しか使えないが、もっと奥地へ行ってユニバーサルサービスの対象となった途端に全ての事業者で圏内になるという奇妙なことが起こる。
ユニバーサルサービス対象地域で自前のインフラを打たなくていいとなると、基地局投資の競争が適切に働かない懸念と、そこは競争すべき領域ではないという反論が考えられる。そもそもユニバーサルサービスの対象を固定電話から携帯電話に切り替えた段階で、今のところ黒字幅の大きい移動通信事業者に対してユニバーサルサービス基金による扶助が必要なのだろうか。お金のやりとりはなくしてしまい、ユニバーサルサービスを引き受ける事業者に対して、使い勝手のいい低い周波数帯域を優先的に割り当てるという考え方もあろう。
遭難者からの救助要請なんかも視野に入れた場合、キャリアによって救われるか否か決まってしまっていいのか考えたが、そういう場所に行くひとは、そういう場所で電波の入るキャリアに入るべきだという考え方もある。今回の事業仕分けで地域イントラネットやら携帯電話不感地帯解消事業が見直されてしまい、データ通信の地域格差をどう解消すべきかという議論が一旦は宙に浮いてしまったが、こういう時期だからこそユニバーサルサービスの再定義という切り口から考え直してみても考えさせられる。中の人はいろいろ考えて議論を組み立てているんだろうなあ、きっと。