まずいのはPSPよりもCellでしょう

R30氏はPSPの初期不良を隊長が煽ったのが久夛良木副社長の社長就任を阻んだと指摘するが，いささか買いかぶりではないか．
恐らくSONY社内的に，PSPでの失敗は初期不良よりもNintendo DSに対する価格設定，生産体制両面での戦略負けであって，それ以上に致命的なのはCellである．
CellはDEC AlphaやIntel Iteniumのように半導体技術者にとって非常に刺激的な技術だが，往年の銘チップ同様それを技術者が使いこなし，コンパイラやソフトの最適化が進むまでにはかなりの時間が必要だ．それ以前に今の消費電力ではとても家電には入らない．リーク電流の問題もあって，65nmや40nmにシュリンクしたところで，抜本的な問題解決にはならないのではないか．
情報家電にCELLが入る，というのは半導体工場への投資を正当化するためのレトリックに過ぎないことは明らかで，その辺の内情がISSCCでの発表をもってSCE社外でもオープンに議論されるようになったのではないだろうか．
とはいえ経営陣が変わっても，半導体設備に張った今となってはCellを引っ込める訳にもいかず臥薪嘗胆，消費電力の削減とソフト最適化技術の成熟へ向けた持久戦に入らざるを得まい．