雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

成熟社会の中で承認欲求をどう満たすか

ぼくは例のエントリを書いたちょうど1年前『虚妄の成果主義』を読んでいて,けっこう納得していた訳だ.なんか思考が堂々巡りしているというか,5月病の一種なのか.ぼくが『虚妄の成果主義』に違和感を感じたのは1点のみ,経営者に「キャリアパスのために成長せよ」と発破をかけているところ.冷静になって考えてみると,経営者向けに書いた場合,ミクロ的には人事制度を捏ね繰り回すよりも成長のための努力をした方がいいのは明らかで,読者層に対するアドバイスとしては的を射ているのだけれども,全体として成長できないのなら,ちゃんと成長して,やりがいのある仕事がある会社なんか何割もあるのだろうか,と考えた.けど,大変な会社は大変な会社なりに,それを克服するという大事な仕事があるのだから,どの会社にも意外とやりがいのある仕事なんか転がっているのかも知れない.

タイトルに偏見を持って敬遠していたのだが,読んでみると科学的な良書である。会社の将来見通しがはっきりしていれば,退出願望は減り,満足度が高まる,特に現状に対する満足度が低くても退出願望に結びつかない,という指摘は直感的に理解できるし,著者の調査では非常に強い相関があったようだ。そういえばぼくも振り返ると,労働分配率とか会社の業績よりも,自分がこれ以上頑張ったときに,どう報われ得るのか,ということを自問したときに,すぐにでも会社を辞めようと考えた。自分の経験とも整合している。

私もほぼ同感で、『虚妄の成果主義』にもこれとほとんど同じことが書いてあります。いい仕事をしていれば、JDを超えて、「これは本来はもっと腕の立つ人がやる仕事だけど、あいつはなかなかやるから、あいつにやらせてみるか」という仕事が降ってきたりする、そういったことが目先の賃金なんかよりはるかに大きな動機付けになるのだと。