雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

筆名をどう使い分けるか

僕は昔から実名で記事を書いていたのだけれども、今の会社に入ってから上司の勧めでペンネームを使うようになった。仕事でプレス対応をするときに、どうしても公式見解で話さなければならない場合もあるし、それと記事とで不整合があるとヤヤコシイからという配慮である。
まぁ筆名を使うといっても、だから違うこととか矛盾したことを書くことはない。そもそも記憶力の良い方ではないし、人格の同一性を疑われるような二枚舌、三枚舌は使わないようにしている。
技術渉外の仕事を始めた2年半前、そういう仕事の大先輩たちに相談したら「そんな仕事は40過ぎてからがいいだろう」と否定的だった。けれどもやると決めたらやるんだと話したら「だったら会社ではなく自分の言葉で話せる立場だけはつくとけ」というアドバイスを貰った。これはすごく役に立った。会社でいうべきことと、自分のいいたいことが大きく外れたら、それはきっと潮時ということなのだ、と考えると肩の荷が降りた気がした。
今では僕を知っている人は、ペンネームも含めて僕の一通りの名前を紐付けられるようにしている。ただ、完全には財布をひとつにできないのは、世の中にはひとを個人ではなく所属する組織や立場・肩書でしか解釈しないひとも中にはいて、そういう連中と不毛な議論をしたくはないからである。今のところ大きなトラブルに巻き込まれていないけれども、本当に大丈夫かどうかはよく分からないし、何か起こったら起こった時にでも考えればいいかぁ、くらいに構えている。

私自身の感覚だと、筆名はむしろ実名にずっと近い。実際妹尾河童のように、筆名を本名にしてしまった例だってあるぐらいだ。誰が書いたかを識別できるのであれば、それはもはや匿名ではないはずだ。
(略)
大事なのは、信頼度は名前に対して割り当てられる属性だということだ。名前は信頼の財布なのだ。バッグを使い分けるように名前を使い分けることはむしろ当然の事かも知れない。少なくとも現代人の多くは「職場」「家庭」そして「自分自身」という三つの財布を持つ事を強いられている。同じ財布を使い回す方がむしろ難しい。そしてblogはその財布の一つであっても構わない。